204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/11/23(土) 10:17:48.77 ID:kwiBuY6v0
「苦しかったのね。痛かったのね」
「ぁ……」
「もう、良いの、良いのよ。疲れたでしょう? 今はお眠りなさい」
硬直し震えていた赤毛の少女の体が弛緩した。
他の子どもたちも同様にゆっくりと倒れ伏す。
本当に眠ってしまったらしく、微かな寝息が聞こえてくる。
フィリアはそっと地に座り込んだ。
苦しそうに呼吸しながらも私に声をかける。
「……紅鬼様。この子どもたちを家まで連れて行ってあげてください。
看病しなくてはいけません……」
日頃から白い顔色はいっそう蒼白くなっている。
彼女も間違いなく重傷者であったが、私は素直に従った。
彼女に何か言う資格など私にはないように思えた。
それが彼女身を案じての言葉だとしても。
何だが酷く疲れてしまった体に力を入れて、私は静かに動き始める。
「……どうして、私たちは哀しいと知って、それでも哀しいことをするのでしょうか」
腹から鮮血を流しながら――それでも気を失った少女を抱きとめながら、フィリアは誰にともなくそう問う。
その痛ましい問いは闇の混濁に飲み込まれていった。
しかし、夜明けは近い。
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