211:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/12/26(木) 09:36:28.30 ID:KK7bj93j0
私もまた己にできることを精一杯こなしていた。
不死身の体を以ってして、小さな生命一つすら繋ぎとめられぬ無力さに歯軋りしながら。
フィリアは重傷者であるので自室で安静にさせている。
彼女は例のごとく、自分の身を顧みようともしなかったが、ハーフエルフの少女に懇々と諭され、大人しく療養することを承諾した。
コクレアの妹は相変わらず手助けなどは一切しないが、意外にも人間の子どもたちを看病することを批判しなかった。
「お願い、生きて……」
混血の少女は祈るように彼らに語り続けている。
第三者として、しかし、誰よりも彼らに身と心を寄せて。
――しかし、現実はあまりにも誠実で残酷だ。
この三日間で子どもたちの大半は、その短い生命をこの部屋で終えた。
亡骸はその都度、棺桶と呼ぶにはあまりに簡素で粗雑な木箱に収めて埋めている。
異郷の地であるこの森に埋めるのは憐れであったが、どうしようもない。
今や生き残っているのは三人だけだ。
少年が二人と、フィリアを刺した赤毛の少女である。
彼らもまた、いつ死の天秤に傾いてもおかしくない。
私も混血の少女も彼らの快復を祈ることしかできない。
私は、無力だ。
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