221:第一志望に受かったった やたー[sage saga]
2014/03/08(土) 15:15:37.72 ID:sTmMkrf50
四日目の朝、少年の一人が病褥から消えていた。
探すと彼は薪小屋にいた。
彼の頭と胴体は、首の部分で分離していた。
薪小屋に置いてあった手斧で己の首を刎ねたらしい。
断面は余りにも美しく、手斧に込められている呪術の威力をいかんなく示している。
混血の少女は疲れが溜まっているようでまだ眠っている。
最初に見つけたのが私であったのはまだ良かった。
彼女にはこの虚しい屍体を見せたくはない。
多くの死を目にしたとしても、自殺体というのは虚しく哀しい想いを彼女に与えるに違いない。
風の寥々としたざわめきが耳に障る。
静かな朝だった。ここ数日で一番の静かさだ。
この屍体が音を吸って、無を創り出しているような――そう思えるほど冷え冷えとした静けさが立ち込めている。
戒律は、自殺者は四つ辻に埋めるものと定めている。
父に与えられた生命を自らの手で散らすというのは無上のの冒涜とされているからだ。
四つ辻に埋葬することで、死者は来るべき時まで何処にも辿り着けず、虚ろな彷徨を続ける。
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