229:投下できてなかったのか[sage saga]
2014/05/11(日) 14:55:42.33 ID:+rIXsr0U0
「埋めるのか?」
彼女はもう一度訊いた。
私は首肯する。
そして我々が土葬する謂れを彼女に語った。
未来のいつか、死者が復活するときに、肉体が失われていては帰ることが出来なくなってしまう。
だから我々は亡骸を埋めるのだ。
愛する者たちの復活を信じて。
彼女は苦笑を浮かべた。
物を理解していない子どもを扱いかねる親のような苦笑だ。
「野蛮な信仰だな。土葬にしたところで、肉体は土へと還るだけじゃないか」
信仰を愚弄されるのはあまり好きではないが、エルフがそう思うのも無理はない。
コクレアもそう言っていた、と彼女に告げる。
まさに、今の彼女と同じような表情で。
彼女は俯いたまま黙った。
考え事をしているというよりは、ただ思いを遠くへと馳せているようだった。
それから彼女は面をあげる。
何かを言おうとしているが、少し躊躇っているようにも見えた。
「コクレアも、やはり土葬されたのか?」
それは私の予想通りの質問だった。
用意していた回答を口にする。
我々の方式に則って、丁重に扱った、と私は言った。
予想はしていたのに、言葉が上手く紡げず、訥々とした喋りになってしまう。
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