34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/11/15(木) 00:44:21.57 ID:7Yq0nTdU0
私は身体を奮い立たせて跳ね起きた。
私が未だ存命なのに驚愕したのか、相手は大幅に距離を取った。
「……劣悪種の分際で呪術を刻印してるのか」
目前に佇んでいるのは、長身の女だった。
私が今身につけている衣服はおそらく彼女の物なのだろう。
彼女もエルフのようだ。
しかしフィリアや少女と異なり、その肌は浅黒く、幾分か目が吊り上っている。
「……答えろ。その呪術をどうやって手にした?」
葡萄酒のように紅い瞳が私を睨みつけていた。
私は如何な言葉も紡げなかった。
息が上手く吸えなくなるほど、感情が昂ぶっているにも関わらず。
全身が慄え、立ち続ける事さえままならない。
脳漿はもう既に頭蓋の内側へ戻ったはずであるのに。
「その紅の刺青。それは術式だけ確立されたものの、使われる事の無かった呪術じゃないのか?」
彼女の刺々しい声音が頭の中で幾度も反響する。
痛いほどに耳鳴りがして、彼女が何を言っているのかよく分からない。
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