36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/11/15(木) 01:00:22.74 ID:7Yq0nTdU0
黒エルフは観念したというように肩を竦めた。
「……殺そうとした。二回ほど。しかし私はお前の事を案じて――」
「紅鬼様、お怪我はございませんか?」
彼女の言葉を遮るようにして盲目のエルフは私に労わりの声をかける。
長身の女は親に見放された子どものような途方に暮れた面持ちになり、それから私を視線で殺せそうなほどに睨み付けた。
「あら? お泣きになっていらっしゃるのですか? それに震えておられるようですけれど」
私は眼の雫を掌で払う。涙はまだ止まらない。
「そのご様子だと何やら理由がお有りのようですね」
彼女は光を喪っているのに、どうして私の様子に気付けるのかを訊ねた。
「眼が視えなくても、感じる事はできますから」
私は彼女の言葉の意味を理解できず曖昧な声を漏らした。
「……人間なんて醜悪な存在だ。チビ、お前はよく知ってるだろう?」
黒エルフの女は吐き捨てるように言って、同意を求めるように少女を見る。
少女は俯きながらも微かに肯いた。
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