45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/11/18(日) 21:20:10.70 ID:RKgc1Uqb0
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ぽかりと。肩を叩かれた。
「起きるのがおそい。わたしより早起きしないと」
エルフの少女が唇を尖らせて言った。
朝陽がまだ上り切っておらず、辺りは薄暗い。
私は謝り、朝餉の準備に取り掛かった。
朝餉の準備と言っても、料理など全くできないため少女の手伝いをするだけだ。
私が燧石(ひうちいし)で火を熾している間に、少女は食材を洗って刻み始める。
フィリアたちの元に身を寄せてから早くも十日が過ぎた。
私は自身から願い出て家事や雑用などを引き受けた。
客人としてもてなされるのは気が引けたからだ。
その為、家事全般を司っているこの少女と行動を共にする事が多い。
少女は暫らくの間私を恐れて口を交わすどころか顔を合わせる事も避けていた。
しかし、子どもの順応性と好奇心の強さは人間もエルフも変わらないらしく、私が危害を加える存在では無い事を実感してからは特に怯えたりしなくなった。
「……」
少女は手際よく次々と野菜を刻んでいく。
その姿は何か神聖な儀式のようで、私は目が離せない。
何度見ても思わず見惚れてしまうのだ。
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