81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/10(月) 01:12:43.08 ID:mmdcqTIP0
――コクレア、と。
「……なんで」
彼女は両手で頭を覆う。呟く声音は幼い少女のようだ。
しばらくその状態で硬直し、
「……あの女は何処にいる? 殺す。殺さなければいけない」
熱病にうなされたように「殺す」繰り返す。
「私はあの女に全てを狂わされた。壊された。奪われた」
よろめきながら私に近づき、胸ぐらを掴む。
暗がりの中でも、その顔色が悪いのが見て取れた。
「答えろ。答えろ! 何処にいる! 何処にいる!! 答えろ!!」
半狂乱になりながら彼女は叫ぶ。
もういない、と私は告げた。
事実だ。
彼女は暫時沈黙し、
「……なんだ、死んだのか」
私の胸ぐらから手を離し、平坦な声で呟いた。
「あははは、そうか、そうか」
それから渇いた笑い声をこぼす。
心を圧し潰そうとする様々な感情を吐き出そうとするように、笑い声はいつまでも続いた。
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