20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/11/11(日) 21:26:33.61 ID:lTEsskoDO
男「それで女さんは浮遊霊になって……」
女「……」
男が背後の女へと振り返る。
女は自分が話題になっている事をまったく意に介していないようで、ぼうっと意思の欠落した瞳で男と少女のやり取りを眺めているだけだった。
男「このままだと、女さんはどうなるんだろう?」
少女「悪魔を地獄に強制送還して地上での影響力を喪失させないと、女さんはずっと地上をさまようはめになります」
男「……そうか」
少女「はい」
男にとって、女は特別な相手ではない。
だが今の脱け殻みたいな女を見ていると、居ても立ってもいられず、ただひたすらにどうにかしてやりたいという思いが、強く、強く男の胸に込み上げてきた。
そして男は一息つき、やがてつぶやくように、言葉を静かに吐き出した。
男「探そう」
少女「……はい?」
男「探そう、悪魔を」
自分でも驚く位に、はっきりと芯の通った男の声だった。
少女「男さん……それって」
男「一緒に、解決しよう」
探偵の真似事ではなく、真相深くに踏み込む決意。
男がそれを言葉にした瞬間、聞き訊ねてきた少女の顔が驚愕に固まり、遅れて一気にやわらぐ。
そして少女は勢いよく男の手を取り、嬉々とした声を上げた。
少女「はい! 一緒に解決しましょう!」
喜色満面を絵にしたような、見ているこちらも嬉しくなる満開の笑みを浮かべながら少女は元気よく答える。
男「うん、よろしく」
それに何だか少しこっぱずかしくなって、男はそっぽを向きながら少女に返したのだった。
少女「では、この契約書にサインを……」
男「それはやだ」
少女「ふえぇ……」
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