8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2012/11/15(木) 17:14:59.63 ID:ztJSs/pAO
ほんの数秒だったと思う。
けど、ボクに時間を計る余裕なんか無くて。
全身から力が抜けて、隠れていたブロック塀の影から、ついふらふらと出てしまった。
彼の車の助手席に乗ろうとしていた彼女と、目があった。
その瞬間、ボクは全速力で後ろに走り出していた。
脱げたキャップも気にせず、僕を呼ぶ2人の声も聞こえないフリをして、ただ走り出していた。
どこをどう走ったかなんて覚えていない。
人にぶつかったかもしれない、ごめんなさい。
でも今は…わざわざ戻って謝る余裕も、そもそもぶつかったかも分からない。
気が付くと、さっきまでいた街中に1人、立っていた。
辺りを見回す、そんな簡単な動作1つが億劫だった。
丁度良さそうなガードレールが視界に入ったので、そこに向かって歩き出す。
ほんの1、2メートルの距離が、長い。
足を引き摺るようにしてやっとガードレールに辿り着くと、身体の力は抜け、寄りかかるようにガードレールに腰を落とした。
はは、良くコケなかったなぁ。
ただ、地面を眺めていた。
眺めていた、すらしていなかったかも。
ただ、視線がそっちに向いていただけ。
ただ。荷物のようにそこにいた。
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