過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚【都市伝説】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚【都市伝説】

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21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/17(土) 21:10:46.23 ID:AJLw78PYo
「ハァ、ハァッ……、ゲホッ、ゲホッ！」

玄関だというのに、構わずその場に私はへたり込む。

むせて喉が焼けるように痛い。
心臓は暴れ回り今にも破裂しそうだ。
酸素が足りないと脳まで悲鳴を上げている。
足は慣れない全力疾走に棒になってしまったようだ。

だけれど立ち上がる気力もなく、横になって休む気にもなれない。

「……」

ガランとした、誰も居ない家の静寂が今は恨めしい。
父は弁護士、母は検事という私の家庭は、どんなに遅く帰っても私より早く両親が帰っていることはない。
なんとなく……今は誰かに傍に居て欲しい気分だったのに。

「取り敢えず電気を点けて、水を飲んで、それからお風呂に……」

汗ばむ体に貼り付く服の、不快な感覚を無視して、コップを手に取り水を注ぐ。

……？

うまく、注げない？
あれ、手が震えて……

……ああ、そうか。
自分で気が付いてなかっただけで、本当は。

「私、怖かったんだ……」

ああ、なんというか、もう、駄目だ。

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