過去ログ - 【咲】京太郎「なにをしよう」【安価】
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49: ◆IGEMrmvKLI[saga]
2012/12/02(日) 00:35:48.05 ID:M48xRZMAO




「ねぇ、京ちゃん」


 咲が見上げてくる。その赤い瞳に、自分の姿が写るほど近い。


「今日ね、お父さん、仕事で帰ってこないんだ」

 彼女の桜色の唇が、小さく動く。
 時折感じる吐息が、くすぐったい。



 その後に続くであろう言葉が、なんとなく予想がついた。


「だから……」



 ついた上で、彼女の言葉を遮ることができない。

 それは、緊張しているからか、それとも、自分が望んでいるからか。
 ぐちゃぐちゃになっている思考の中では、正しい判断がつかない。

 けれど、





「これから、私の家にこない?」





 その言葉だけは、ハッキリと聞こえた。








 人は沢山の選択肢を選ばなければならない。
 人生を大きく変えるものからほんの些細な小さなことまで、幅広い選択肢が目の前に広がっている。

 みんなそれぞれ、いろいろと思考を巡らせては、それらの中でより良い方を選ぼうとする。

 現に自分も、そうだ。


 今までのような、ふざけあいながらも気を許せ合うことのできる幼なじみか。


 それよりも、更に先に進んだ関係か。




 期待の眼差しを向けてくる彼女に、俺は、静かに口を開いた。





 肌寒い夜道の中、早く帰路に着こうと足早に進んでいく。


 彼女の暖かく、小さな手を掴みながら。







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