11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/11/20(火) 02:57:38.02 ID:5RXrfIEi0
一応、やよいも自分と同じく戸惑っていることを確認してから真は記憶を辿り始めた。
(おかしいな、ボク達は確かに撮影帰りのワゴン車の中にいて……。疲れたボクとやよいは車内で寝てたんだ。そしたら運転手さんがいきなりハンドルを切ったから飛び起きて……)
フロントガラスから見えたのは強烈な光。咄嗟に突進してくるトラックのヘッドライトと判断して、死を覚悟した。
しかし次の瞬間にはこの部屋に。
(………ってことは、まさかここは死後の世界?)
そう思ってから自分がいつも通り、生物として呼吸をしていることに気付く。
(死んでないよね、うん死んでない。
息してるし、それに……うん、温度も感じるし、感覚もある……心臓も動いてる)
天井に設置された空調からはモーターの回転音が小さく聞こえる。
それが部屋を暑くも寒くもない気温に保っているようだ。
(……じゃ、じゃあ、あれは夢ってことなのかな?
でも、さっきまでの記憶はまるでないし、いやでも)
考えれば考えるほど思考はこんがらかっていく。
なにが本当の記憶でどこからが夢なのか。
寝ぼけているかのように現実を現実と認めることができない。
「あの、すみません」
「へっ……あっ、はい」
不意に側にいたスーツを着ているサラリーマン風の中年の男に話しかけられ、真は絡まった思考から強制的に引き上げられた。
「あの、キミ達も死にかけたの?」
と遠慮がちに男は真とやよいに言った。
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