12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/11/20(火) 03:00:25.80 ID:5RXrfIEi0
えっ、と真は驚き、とっさに男に聞き返す。
「あなたもですか?」
「はい……僕は、勤めている会社の非常階段を踏み外したんですが、気付いたらここに。キミ達は?」
「え、と……ボクはこの娘と二人で車に乗ってました。それで突然、トラックが追突してきたと思ったら、気が付いたらこの部屋の中にいて……」
「だよね?」とやよいに同意を求めると、やよいは突然話を振られたことに驚きながらも「は、はい」と答えた。
男の話を聞いて、真の額を嫌な汗が伝う。
同時に、自分が見たトラックの光は確かな現実であったことを改めて確信した。
「ここにいる人達は皆そうみたいで……」
ここにいる人達―――――――――
そう言われて、改めて真は部屋の中にいる人々の顔を見ていった。
窓と逆側の壁際には、学生服らしきブレザーを着た真と同い年くらいの少年が、暗い顔をして体育座りしていた。そして奥の壁、黒い球の向こう側には壁にもたれ掛かって若い男女二人が真とやよいをじっと見つめていた。
坊主頭の男は強面で背が高く黒いジャケットを着ており、女は茶髪まじりの長い金髪、ダウンジャケットにGパンと、あまり女性的ではない質素な服装をしている。
二人とも目つきに言い知れぬ眼光を持ち、強面の男は真達を眺めているというより睨んでいるようで、女の方は首を傾け無表情でこちらに視線を投げ掛けていた。
「松本さんも、そうなんですよね?」
「……そうだけど?」
そしてサラリーマン風の男に松本、と呼ばれてぶっきらぼうな返事をしたのは、窓際に立っていたカールした茶髪を携えニットカーディガンを着ている、ギャルという言葉が似合う若い女だった。
松本は露骨に不機嫌そうな表情を男に向けている。
真は、怖そうな人だな、と若干引き気味に松本の顔を見た。
その視線に気づいたのか、松本も真とやよいに視線を移し、真と目がばっちり合ってしまった。
しかしその途端、松本は目を丸くして真とやよいの顔をまじまじと見つめ始めた。
「……っていうか、もしかして菊地真クンに高槻やよい、ちゃん?」
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