13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/11/20(火) 03:03:01.62 ID:5RXrfIEi0
「……っていうか、もしかして菊地真クンに高槻やよい、ちゃん?」
(あ、バレた)
瞬間、そう思った真の隣で男が「えぇっ?」と素っ頓狂な声をあげた。
途端に真を指差し黄色い声をあげる松本。
「やっぱそうだ!やっぱ真クンじゃん!すげー!!超かっこいい!!」
「あは、は。ありがとうございます」
こんな時でも、引きつりながらも思わず営業スマイルが零れてしまう。
追っ掛けに追われて黄色い声を浴びせられるのが日常的な真にとって、興奮する松本は、非日常的状況の中に日常が溶け込むような、不思議にも多少の安心感を覚えた。
カッコいいと言われて複雑な気分になるのは相変わらずだが。
「えっ、菊地真と高槻やよいって、あのアイドルの?」
「そうだよ、こんな近くにいて気づかなかったとかマジ……」
驚いた様子で遅れてそのことに気づいた男に、松本は遠慮なく呆れた視線を送りつけた。
「あ、あのー……」
盛り上がり始めた二人の会話に、真は遠慮がちに割って入った。
自分ややよい、アイドルに出会う事で興奮するファンを何人も見てきたが、今はそれどころではない。
振り向く二人に真は質問を投げかけた。
「お二人はなんでこの部屋にいるんですか?」
すると松本は「なんでって、なにが?」と未だに興奮が冷めていない様子で聞き返してきた。
「なんでって、この部屋からは出られないんですか?」
真がそう言うと、男と松本は少し驚いたように目を見合わせてから各々ため息を吐いて、肩をすくめてみせた。
「開かないんだよ。窓も、玄関も」
「……もしかして、私達この部屋に閉じ込められちゃってるんですかぁ?」
男の返事に、やよいは不安げに聞き返した。
「開かないってそんな……」
真がそう呟くと、男は「やってみれば分かるよ」と意味深な返事をした。
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