14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/11/20(火) 03:06:07.73 ID:5RXrfIEi0
「やってみればって……」
―――やってみれば
それがどういう意味で言われたのか分かりかねるも、
とりあえず真は怪訝そうな顔をしながらも窓ガラスに近寄り、留め具に手をかけた。
「……!!?あ、あれ?」
開かない。
いや、そもそも触れない。
留め具に力を掛けるどころか、まるで強力な磁石が反発し合っているかのように、手は留め具の周りで滑り落ちてしまう。
「な、なんだよこれ……」
「ど、どういうことですか?」
愕然とする真とやよい。それを見ていた男は観念したかのようにため息を吐いた。
「僕も信じられないんでだけど、玄関もそんな調子で……それに窓ガラスを割ろうとしても割れないし、大声を出したり壁を叩いても外からは誰も気付く様子がない」
そして男はスーツのポケットから携帯電話を取り出して、ディスプレイを真達に見せつけた。
見ると、ディスプレイは真っ黒に染まっている。
「しかも携帯は電波どころか電源すら入らないし。
……まるでこの部屋だけ、外の世界から切り取られてるみたいなんだ」
「えぇ!?」
真もズボンのポケットに入っていた自分の携帯電話を取り出した。
見ると電源は入っておらず、バッテリーは入っているのにいくらボタンを押してもなんの反応も無い。
「そんな……こんなことって」
「ま、真さぁん、私達ちゃんと帰れるんでしょうか……」
絶句する真の傍らで、やよいが怯える。
「大丈夫……大丈夫だよ、きっと」
自分にも言い聞かせているような口調で言いながら、真は神妙な表情でやよいを抱き寄せた。やよいは黙って、真
するとその様子を見ていた松本が少し苛立っているような口調でおもむろに喋りだした。
「真クンとやよいちゃんが来たからには、やっぱりテレビかなんかの企画かと思ったんだけど、真クンもやよいちゃんもホントになんも知らないの?」
「ボク、何も知りません。気づいたらここにいたから……」
「私もです……」
真に続き、やよいが弱々しく言った。
要するに自分たちは何者かによって拉致され、この部屋に閉じ込められているのだ。
窓や扉に触れないという説明のつかない現象や、謎の黒い球も含めて、状況はあまりにも不気味だった。
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