31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/11/22(木) 01:52:53.72 ID:Aqo+XSP60
そしてそこで赤羽根は、改めて後ろで黙っていた倉田と尾形に二人に視線を送った。
「彼等はあなた達が困った時の強力な助っ人です。……それと先程、筑川さんが尾形さんから聞いたことの内容は、この企画のリアリティを盛り上げるための演出の一環ですよ」
赤羽根が先の尾形に代わって説明をしている間、尾形は何故か赤羽根から目をそらしていた。
(……なにか余計な事でもしたのかな?)
尾形の様子を見て真は、日頃の仕事の番組収録などで自分が何かミスをやらかした時に、スタジオ外から冷ややかな視線をあびせてくる担当プロデューサーとのことを思い出した。
「……倉田徹だ。よろしく」
「……尾形美智恵です。改めてよろしく」
赤羽根の紹介に倉田と尾形は、改めて部屋にいた面々に短い挨拶をした。
「では詳しい説明は戦闘区域に出てからしますので、まずはそこにあるスーツを着て下さい。
着る場所はそちらの玄関で、一人ずつでお願いします」
「はぁ?更衣室とか無いの?」
祐喜の言った事に、松本が素っ頓狂な声を出して、あからさまに嫌そうな顔を場を取り仕切る二人に向けた。
真ももっともだと思いながら、松本の抗議に対する二人の返事を待つ。
「すいません、ただ誰にも見られずに着替えられるスペースはあるので。
……時間が押してるので着替えはお早めに。スーツケースは玉の後ろに入っているので」
(えぇ……更衣室ぐらい用意してくれてもいいじゃないか)
配慮が足りないように感じられる進行の仕方に、真は若干失望した。
わずかに苛々し出した松本を中心に場に僅かだがぴりぴりとした空気が流れる中、今まで一切動じず、
ずっと黙っていた少年が颯爽と玉の裏に回って行き、そこに収納されているスーツケースを一つ取り出した。
少年がケースを持って玉の裏から戻って来るのを見計らったように、筑川も続いて玉の裏に行き、棚の中を覗き込む。
少しして、怪訝な顔をしながら筑川は赤羽根と祐喜を見やった。
「……あの、名前とかは?」
「名前は書いてある場合と、各人が個別に分かるような単語が適当に書いてある場合があります。これが自分のだろうと思ったらそれを持って行って下さい」
それを聞いた真はスーツケースを抱えて部屋から出て行こうとする少年の姿を見やった。
385Res/401.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。