364: ◆guueZER6fU[saga]
2013/11/16(土) 02:34:17.30 ID:Z0geXoAn0
制服のブレザーを脱ぎ、Yシャツのボタンを二、三個外す。
しかしそこで、卯月は再び手を止めた。
「あの、隠しカメラとか……無いですよね?」
「無い無い、無いよ」
予想だにしなかった質問に、思わず苦笑しながら真が否定すると、卯月は相変わらず嫌そうな顔をして、いそいそと脱衣を再開した。
(……多分ね)
心の中で、そう付け加える。
仮に誰かに隠し撮りされていると考えると、真も鳥肌が立つくらいの嫌悪感を覚えるが、確証は無い。
見た限り、どこにもカメラらしき物は無いし、こんな場所で誰かが盗撮しているとも思えなかった。
とは言えど、聞かれると確認せずにはいられず、真も目だけを動かして玄関を見回した。
「あの……」
真がズボンを脱いだところで、聞き覚えの無い声に話しかけられた。
話しかけてきたのは、今まで黙っていた赤城みりあだ。
妙に期待の籠もった目で自分を見つめている。
「聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」
話したいことは、みりあの顔を見てすぐに分かった。
真のことを、『アイドル』だということを確認したいのだろう。
(気づかれちゃったかな……まあ、それもそうだよね)
しかし、確認を突然するのでは無く、ちゃんと指示を仰ぐ辺り、幼くあどけない見た目とは裏腹にしっかりした子のようだ。
みりあに対しては話しても問題無いかもしれない、と真はもう一方の卯月の顔を窺った。
卯月の方は、相変わらず状況を上手く飲み込めていない、なんともいえない表情で真を見返してきた。
……多分、大丈夫だろう。
そう判断し、みりあに「うん、いいよ」と返した。
真から許しが出ると、少女はやや口ごもりながら恐る恐ると、言った。
385Res/401.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。