51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/11/25(日) 12:06:15.81 ID:sDZPiapL0
都心のマンションの一室から打って変わって、目の前に現れたのはどこかの閑散とした住宅街。
道脇の街灯がぽつぽつと寂しく灯っている。
先程いた部屋に人々はやはり周りにおり、皆それぞれ辺りを見回したり歩き回っていた。
自分の身体を見下ろす。
すると身体は肩から下が無く宙に浮いているような状態で、その空中から自分の身体が書き出されていく様子が見えた。
徐々に胸や二の腕、腹部が現れ、それが『転送』というものなんだと、真はなんとなしに理解した。
(スッゴいなぁ、これが催眠術……かぁ。ホントにどうやってるんだろ)
空中に現れていく自分の身体という現実離れした光景。
先程までの苛立ちや戸惑いを忘れ、その様子を何も考えずにじっと見つめる。
すると不意に横から声を掛けられた。
「真さん」
顔を上げて見ると、そこにはやよいが安堵の表情を浮かべて立っていた。
「あ、やよい。やっぱり先に来てたんだ」
そこで『転送』は終わり、真の両足がコンクリートの地面に着いた。
「はい、真さんが着替え終わってないのにいきなり連れて来られちゃって、びっくりしましたー」
「本当だよ。
全くもう!ボクのことなんて全然待たないでどんどん始めちゃってさ……信じらんないよ」
真は銃を持ったまま腕を組んで、頬を膨らませて小さく怒りを爆発させた。
しかしあくまで出演している側に過ぎないので、大きな声では言えない。
「これだけお金掛けてやってるなら、進行だってもっときちんとやんなきゃダメだろうにさ」
当の案内人である赤羽根達は、少し離れた所に四人で集まって何か話しをしている。
他のメンバーの状態を見向きする様子も無い。
「せめてもう少し取り纏めようとする努力をしてほしいよね。
カメラがどこにあんのかは分からないけど」
「あはは……でもカメラ、ほんとにどこにあるんでしょうかぁ?全然見当たらないですし」
「多分どこかに隠れてるんじゃないかなぁ。
……でもせっかく隠れてるカメラを出演者が探すなんて真似はしちゃいけないよね」
と、声を小さくしてやよいに耳打ちする。
やよいは「わかってますよー」と小声で頷いた。
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