過去ログ - 垣根「君が教えてくれた花の名前は――」
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◆1yXtrQq8OHOj
[saga]
2012/11/21(水) 01:19:42.13 ID:uvc+WRweo
〜〜〜
垣根帝督が第二位としての力を開花させたのは、今から五年前――絹旗との別れから二年後だ。
絹旗と離れ離れになった時、垣根はわんわんと泣いた。
その頃までは、垣根帝督は非常に素直で感情豊かなよく泣き、よく笑い、よく怒る、どこまでも子供らしい子供だった。
そんな垣根を変えたのはたった一つの紙切れだった。
その紙の内容は覚えていないし、当時のまだ普通の少年だった垣根には理解出来ぬものだった。
だが、それが他人の目に触れた、たったそれだけの事が引き金になった。
『な、なんだよ……お前たちは……やめてよ、どこに連れていくんだよ!
や、めてよ……』
『君には暗部組織に入ってもらう』
『暗……部……?』
全てを捨てろと言われた。
捨てずにとっておいていいのは、垣根帝督という名前だけだと言われた。
『わかった……意味わかんないけど、俺の言う事一つ聞いてくれるなら……俺は名前以外の全てを捨てる』
強くならなくてはと初めて思った。
『最愛ちゃん……絹旗最愛を暗部組織とやらには巻き込むな。
あいつには、十分な幸福を約束してくれ……そうしたら、入る』
目に貯めた普段なら流れてくる涙を垣根は必死に食い止めていた。
この時、垣根帝督は泣き虫な弱っちい垣根帝督を殺した。
「なのに……なんで……」
かすれた声でつぶやきながら、床に膝から崩れた。
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