過去ログ - フィアンマ「あ、あん、安価で世界を」上条「あんかけが何だって?」
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340: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/12/03(月) 22:13:41.65 ID:b+xYyjLj0
>>339様 身長については迷い迷って記載していなかった>>1の完全なミスというか甘えでした申し訳ないです…》



変わらず落ち込む一方通行に、しかしこれ以上の慰めはかえって侮辱だろうと考えたフィアンマは沈黙のままにメニューを眺め。
やがてパンケーキとレモンティーのセットを注文した後、運ばれてきたそれを丁寧に切り分け始める。
そんな彼女に向かって、学園都市最強は言葉をかける。

「なァ、オマエシスターか? シスターにしちゃあ色合いが違ェが…」

「職業上衣服は揃えていないが、修道女である事には変わりないな」

衣服が赤であることは修道女らしからぬと久しく思いながら、フィアンマはこくりと頷いた。
一方通行はしばらく黙った後、静かに問いかける。

「もし良ければ、俺の罪をちょっと聞いてもらえねェか? …はン、所謂懺悔ってヤツだ」

「罪を悔いることは恥じることではない。…話してみろ」

切り分けたパンケーキに、ついてきたメイプルシロップ(風蜂蜜シロップ)をかけ。
フォークの背中で丁寧に塗り込みながら、フィアンマは優しく促した。

「……俺は、…自分が一人であることが嫌なばっかりに、それから逃れようとした。…その為に選ンだ結果が、散々だった」

「…詳しく話してくれないか」

「…俺は、この学園都市の『超能力者』の中でも、第一位―――一方通行って呼ばれてる。本名は、もう忘れた」

「……」

温かなレモンティーに砂糖を溶かし。
無理やり話の続きを急くでもなく、彼女はこくりと頷くことで相槌を返す。

「当然、化物、腫れ物扱いは当たり前として。…現時点での最強よりも先、…無敵になれば、誰も傷つけないで済むと思った。…俺の能力は『ベクトル操作』。シスターにゃちとわかり辛いかもしれねェが、要するに攻撃をそっくりそのまま跳ね返すのが特性とでも解釈してくれりゃァイイ」

「……」

「…二万通りの方法で、か弱い女殺せば無敵になれるって話があった。…馬鹿だったからなァ。頭脳がどれだけよかろうとも、寂しさに視界の曇ってた俺は、そンな最悪の条件の実験を呑ンじまった」

「……」

「…勿論、研究者共には、泥人形だと思え。殺すンじゃなくて壊すだけだと思え。…そう、言われた。……俺はそれを呑ンだ。信じた。人を殺してるっていう重荷から逃げたい、ただそれだけの理由でなァ…」

甘いパンケーキを口に含み。
フィアンマは、丁寧な調子で先を促した。
一方通行は、どうして先ほど会ったばかりの修道女然とした少女にこんなことを話しているのか、自分でもわからなかった。
打ち止めに言うには、あまりにも醜い言い訳だったからかもしれない。
世界で一番恥ずかしい瞬間を見られた彼女になら、どんな弱みを見せてしまってももはや構うまいと、そんな思考なのかも、しれないが。

「……最強の先の、無敵になれば。もう二度と、俺に攻撃を仕掛けようとする馬鹿は居なくなると思ったンだ。…本当は、そォじゃなかった。例えカミサマとやらにも届く力を持ったって、歯向かう奴は絶対に居る。…それを、わかっていなかった。見ないフリをした。どンなに拒絶されても、俺は誰かに手を伸ばしてみるべきだったンだ。ガキだったとか、そういう言い訳をしないで。誰か、俺をわかってくれそうな大人に、子供に、…手を伸ばせば、良かったンだ…」

友達を作れば良かった。
どんなに拒否されたとしても、いつか拒否をしない人物を捜して、友達になってくれと。
そうして自分の居場所を自分で作らなかった成れの果てが、今の自分だ。
自嘲して、一方通行は笑った。明らかな、自らへの嘲笑だった。

「…実験をした。…一万三十一人を殺した。無残に、…愉しささえ見出しながらな。…一万三十二回目の実験の時、邪魔が入った。ソイツは俺と真逆の野郎だった。…俺の力が効かねェクセに、『無能力者』だって話でよォ。……安堵しなかったといえば、嘘になるンだろォな」

「…そうか」




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