過去ログ - フィアンマ「あ、あん、安価で世界を」上条「あんかけが何だって?」
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862: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/12/11(火) 19:29:34.74 ID:fe9JhZZ00

刀夜「ああ…ありがとう…」

フィアンマ「……」

一日中走り回った人間が、ベッドへ横たわる事が出来たかのような。
もう何も心配せず、苦労せず、全てが終わったと、認識した表情。

刀夜「やっと休める…」

何に追い立てられることも、自分を追い立てることもなく。
ようやく安らかに眠れるのだ、といった表情。
オフィーリアはそんな彼に優しく微笑みかけると、ふらつかないよう気をつけて立ち上がった。
崩壊途中の『ベツレヘムの星』は、不気味にぐらぐらと揺れている。
上条は遠隔制御用霊装の塵を見やった後、刀夜へ近寄った。
望んだ覚えは無いとはいえ、ある意味、自分の為にこんな風になってしまったのだ。
そう思うと哀れだった。別段、憎んではいない。だってこれは自分達の為だと、彼は最初から言っていたのだから。
脱出用のコンテナは此処を出て右に、と告げる彼は、崩壊していくこの要塞と共に朽ち果てると言外に告げていた。
勿論、二人はこのまま上条刀夜を放置して出て行くつもりはなかった。
そこまで、優しくなんて無い。そこまで、冷徹にはなれない。
自分の意思で動けるまでまだまだ回復しない刀夜の身体を、オフィーリアは抱き上げる。
そんな細腕で成人男性を抱えて大丈夫なのだろうかと心配する上条だったが、『天使の力』を応用して筋力を底上げしている為、問題無いようだった。


残るコンテナは、サーシャが脱出したこともあって、残り一機。
それも、四、五人が余裕で乗れるものなどではなく、一人用のそれ。
三人の体重は平均的なものなので、無理やり詰めれば二人は乗って脱出出来るだろう。
ただし、ひとりは此処に取り残され、崩壊していくこの場所と運命を共にすることになる。

刀夜「私は此処に残るから、二人で行きなさい」

父親として、大人として、加害者として。彼は、そう言った。
上条は迷った。オフィーリアは大事だ。けれど、父親も大事だ。しかし、刀夜とオフィーリアを脱出させれば、刀夜は自分を残した事を一生後悔する事になる。何しろ、こんなにも息子として大切に思ってくれているのだから。
上条と違って、オフィーリアは迷わなかった。

フィアンマ「当麻、先に乗ってくれ」

上条「でも、」

いいからいいから、と、上条はコンテナの鍵を開けて押され入る。
三人無理やり詰めて生き残る奇跡的幸運に賭けるのかと考えた上条だったが、違った。
オフィーリアは迷わない。
もう、泣いて縋って助けを求めるヒロインになんて戻らない。
だから、彼女が行ったことはどこまでも単純で、早かった。
上条が入って尚空いたスペースに刀夜の身体を滑り込ませ、二人がしっかりと入ったことを確認した上で、ドアと鍵を閉めた。
物理的な鍵の為、こうしてしっかり施錠してしまえば『幻想殺し』でも壊せないし、無事着地するまで外側から開ける事も出来ない。

三引く二は、一。
残るのは、オフィーリアただ一人。

上条も、刀夜も動揺した。
自分が残ることは考えていても、彼女が残る可能性だけは、考慮していなかった。

上条「>>864



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