過去ログ - 【咲ーSakiー安価】魔王クエスト―魔法少女と探偵とくのいちと目立ちたがりの姫君―2
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817: ◆Rf40X2USO7Yr[saga ]
2013/03/19(火) 17:37:40.55 ID:q+ZWdoyAO


 たいていの場所でそうだが、風越の谷でも、エルフとドワーフの間の仲は良くなかった。互いに敵視し合い、交流の全くない関係が続いていた。

 助けられたエルフの娘はドワーフの若者の勇敢さに、若者は娘の清純さと優しさとに好意を持ったが、それぞれの種族のしがらみに囚われて、親しく付き合うことはできなかった。

 若者と娘はそれぞれの種族には相手のことを隠したまま、森での会瀬を重ねていた。

 だが、ついに娘が若者の子を身籠ることになり、二人は谷から逃れることを決めた。どこか自由な土地で自分たちだけで生活を営むことを夢見たのである。

 若者の父、ドワーフの君主は、息子が種族に対する責務を忘れて、恋のために谷を捨てることを許さなかった。駆け落ちした恋人たちには追っ手が差し向けられることになった。

 恋人たちは追っ手と、谷の外の野盗や妖魔たちとの挟撃にあい、ついに若者は命を落とし、娘も重傷を負ってドワーフの洞穴に連れ戻されることになった。

 息子を失った悲嘆と後悔に暮れる君主に追い討ちをかけるように、エルフの娘も出産の苦しみの中で息を引き取った。

 後に残された息子の忘れ形見は、エルフとドワーフの血をそれぞれ半分ずつ受け継いで、片方が青く、片方が真紅の眼をしていた。

 髪も、ドワーフたちの間では決して生まれない、豊かな金色に光り輝いていた。美しい容貌に恵まれたこの娘は、秋の田園を思わせるその金髪にちなんで、美穂子と名づけられたのである。

 この娘がやがて成長し、その運命を変えた一人の人間の少女の騎士と出会うのは、もう少し先の話になる。


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