21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/12/02(日) 02:19:08.96 ID:FjbuSJkDO
だが一同の心配をよそに、執事はピンと背筋を伸ばしたまま「問題ない」と告げた。
執事「村人たちからの話を聞くに、ここら一帯は少しばかり特殊な環境にあるようです」
吸血「特殊じゃと?」
執事「はい。戦略的な価値が乏しく、そのうえ近くで小競り合いがあるごとに領有権が二国間を行き来しているのです」
宝箱「それが何で『問題ない』んだよ?」
執事「領主が相次いで逃げ出し、お嬢様の対抗馬となる者がおりません。
またそのような状況を国も憂いております事は明白で、お嬢様を領主とした申請を出せば、ちょっとした賄賂を贈るだけですぐに役人たちは首を縦に振るでしょう」
幽霊「あの……でも……『領主が相次いで逃げる』ような状況にあるのよねココ?」
執事「はい」
吸血「……」
宝箱「……」
幽霊「……」
だめじゃん、という重苦しい空気が辺りに漂い始めた。
皆が口を閉じ、言外に「止めたほうがいい」と横目で少女に視線を送る。
そうこうするうちに、やがて少女がぽつりと呟くように言葉を発した。
少女「……アルラは?」
全員「……あ」
言われて気付いたように皆が辺りを見回す。
魔界植物の代名詞的存在であるアルラウネは、いつの間にやら忽然と姿を消していた。
35Res/49.89 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。