過去ログ - エルフ「……そ〜っ」 男「こらっ!」
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545:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:13:29.84 ID:RLjbm7yt0
族長「そうかい。でも厄介なことになったね。あたしはあんたがここにいようと別に構いやしないんだが。なにせ時期が時期だ。人とエルフとの戦いは激しくなる一方。特に若いエルフは今のあんたが話してくれた若い人間と同じように人を倒そうと躍起になってる。
 この里のエルフはまだ私が抑えているけれどそれもいつまで持つかわからないのが正直なところだねぇ。
 だからあんた。その傷が治ったらすぐにこの森を出たほうがいいよ。私も立場が立場なものだから見てみぬふりをするくらいしかできないけどねえ」

学者「いえ、今の人とエルフの状況を考えればそう考えて当然です。むしろ人とわかっていて殺さないでいただけるだけマシでしょう。その上手当までしていただいて。感謝しております」
以下略



546:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:15:04.17 ID:RLjbm7yt0
族長「なに、これ以上厄介事が増えるのを防いでるだけだよ。私は争いが嫌いだからね」

学者「そうですね。戦争なんてものは互いに傷つくばかりです。生み出すのは相手に対する憎悪ばかり……。本当に早く戦いが終わって欲しいと願うばかりです」

族長「そうだね。でも、さすがに今回ばかりはどちらかが滅ぶか、それとも服従することになるか。行き着くところまで行かないと終わりそうになさそうだけどね」
以下略



547:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:15:37.60 ID:RLjbm7yt0
シーン

族長「さて、話はこの辺にしておこうかね。あんたもその状態でずっと起き続けているのは辛いだろうし。もう一眠りしておきな」

学者「確かに。実は先ほどから眠気がひどくて……」
以下略



548:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:16:49.66 ID:RLjbm7yt0
学者「あのエルフの少女にお礼の言葉を伝えてもらないでしょうか? 本当はさっき言っておきたかったのですが、伝える前に彼女は部屋を出て行ってしまったので……」

族長「それくらいなら構わないよ」

学者「ありがとうございます。もちろん目が覚めたらまた自分でも伝えておきますので」
以下略



549:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:17:18.50 ID:RLjbm7yt0
……



学者の男が療養を始めてから二日が経った。この間、特に何が起こるわけでもなく、エルフの看病を受けながら少しずつ彼は体力を取り戻し始めていた。
以下略



550:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:17:46.75 ID:RLjbm7yt0
エルフ(この間のおばあさんとの話。気になってこっそり聞いちゃいましたけど、この人もお父さんとお母さんと同じように人とエルフの和解の道を考えているんですね……)

彼女の両親と同じ考えを持っている学者にだったらすぐに打ち解けてもよいとエルフも内心では思っていた。だが、彼が人であるということが彼女と学者との間を邪魔していた。

エルフ(お母さんも、お父さんも頑張って人とエルフとの仲を良くしようとしたのに……。周りからは裏切りもの扱いされて、里から追い出されて。最後は人との争いに巻き込まれて人の手によって死にました……。
以下略



551:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:18:30.73 ID:RLjbm7yt0
学者「……やっぱり君も私が憎いかね?」

そんなエルフの内情をなんとなく察したのか学者は彼女に訪ねた。エルフが話を聞いていたと気づいていない学者は彼女が人に対して憎しみを抱いていると思ったのだ。

エルフ「……」
以下略



552:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:19:32.31 ID:RLjbm7yt0
気まずい気分を胸に抱えたまま部屋を出たエルフは、己のうちにある複雑な感情を持て余していた。

エルフ(言い返したかった……。私は人を憎んでいないって……)

そう思っていた。それはエルフの本心である。人と仲良くして行きたい。
以下略



553:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:20:06.52 ID:RLjbm7yt0
涙を浮かべ、エルフは戦火の渦中にある草原を駆け抜けた。振り向く事はできなかった。
迫り来るプレッシャー、振り向いた先にある凄惨な光景、そしてほんの僅かでも足を止めれば己の命も危ういのだと本能的に悟っていたからだった。

気づけばひとりぼっちで森の中を彷徨い歩いていた。涙を流し、無様に嗚咽を漏らしながら。
そして、森の奥から現れた同胞達によって保護され、祖母のいるこの里で暮らすようになった。
以下略



554:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:20:38.38 ID:RLjbm7yt0
世話になっている祖母にも迷惑をかけまいと、毎日明るく、明るく振る舞ってきた。誰からも好かれるように、邪魔な存在だと思われないように。

息を殺し、まるで空気のように。その場に存在しても誰からも気づかれず、誰の迷惑にもならないように努めてきた。

心はずっと平静だった。そう、彼が来るまでは……。
以下略



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