過去ログ - エルフ「……そ〜っ」 男「こらっ!」
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567:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:30:43.99 ID:RLjbm7yt0
……



日も沈み始め、夜が森に訪れようとしていた。朝方の明るい雰囲気はいつの間にかなりを潜め、不気味な暗がりが森に広がっていく。
以下略



568:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:31:13.67 ID:RLjbm7yt0
学者(やはり、余計なことをしてしまったかな……。後味の悪い別れにはなるが、むしろこの方がいいのかもしれないな。
 彼女は直ぐに変わることは無理だろう。でも、もし彼女がこの森を出て人と出会うことがあったなら、いい人と出会うことができたのなら、きっと今と違って自由になることができるだろう……)

彼女のこれからが良いものになればいいと思いながら学者は森を出るために先へ先へと進み始める。だが……。

以下略



569:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:31:50.90 ID:RLjbm7yt0
突然己の前に現れたエルフに驚くが、学者は意外にも冷静だった。
こんなにもたくさんのエルフがまさに森を出ようとするこのタイミングで現れたということは、以前から自分がこの森に滞在しているということが彼らにはわかっていたということだ。

一瞬、族長かエルフの少女が自分のことを彼らに密告したかという考えが思い浮かんだが、エルフの少女はほかのエルフからつまはじきにされていると聞いていたし、族長もそんなことをする者とは思えなかった。

以下略



570:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:32:34.39 ID:RLjbm7yt0
一方、部屋の窓から事態を見つめていたエルフは焦っていた。

エルフ(なんで、あんなに他のエルフが……。それもですけれど、あの学者さんが連れて行かれました)

一体、今この森で何が起こっているのか? そして、彼らは学者をどうするつもりなのか。それを考えたとき、エルフは己の身に迫る危機を感じた。
以下略



571:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:33:00.42 ID:RLjbm7yt0
エルフ(怖い、怖い……こわい)

走っても走っても離すことのできない相手との距離。捕まったらどうなるのか、それがわからないわけではない。
今までは間接的に付けられていた裏切り者の烙印を直接その身に刻まれ、皆の前に無様な姿を晒すことになる。そして、最後は……。

以下略



572:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:33:28.35 ID:RLjbm7yt0
エルフ「いやっ! 離して、離してください!」

捕まってしまった。彼女の手をつかみ、動きを止めたエルフの顔には怒りが宿っていた。

エルフ兵「仮にも同胞であるお前が、我ら一族を裏切り人に手を貸すとは。
以下略



573:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:34:27.29 ID:RLjbm7yt0
エルフ「えっ……えっ?」

突然の出来事に、何が起こっているのか分からず、戸惑うエルフ。だが、戸惑う彼女を叱咤する声が辺りに響き、彼女は冷静になった。

族長「何ぼさっとしているんだい。いいから、早く逃げな」
以下略



574:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:35:13.35 ID:RLjbm7yt0
族長「行きなさい。ここにいてはいけないよ。お前さんはもう、ここで生きていけないんだ」

その言葉、雰囲気にエルフは死んだ両親の最後を族長に重ねた。

エルフ「いや……。いや、です。だって、私。全然おばあさんと過ごしていません。これからだって、もっとずっとおばあさんと一緒に暮らしていきたいんです」
以下略



575:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:35:42.09 ID:RLjbm7yt0
エルフ「どうして……どうしてみんな私を置いていってしまうんですか? 私、みんなと一緒にいたいだけなのに……」

族長「そう願っているのはお前さんだけではないよ。誰だって、好きな人とずっと一緒にいたいはずさ。でも、今の世の中ではちょっとしたすれ違いからそうすることが皆できないんだよ。
 でもね、いつかきっと。誰もが笑って、種族なんてものを気にしないで手を取り合って生きていく時が訪れるはずさ。
 私はお前さんにそんな世の中を見てもらいたいんだ。だから……生きておくれ」
以下略



576:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:36:08.21 ID:RLjbm7yt0
エルフ「おばあさん、おばあさん! おばあさあああああああああああああああああん」

喉が裂けるほど大きな声を張り上げる。だが、老婆は一度として振り返ることなく森の闇に飲み込まれていった。

エルフ「う、うぅぅっ。ひっぐ、えぐっ。おばあ……さん……」
以下略



577:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 01:36:35.76 ID:RLjbm7yt0
……



エルフ「そうして、私は森を出ました。でも、森を出たところで行く先も、生き方も知らなかった私はすぐに奴隷商人に捕まって奴隷になりました。
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