過去ログ - エルフ「……そ〜っ」 男「こらっ!」
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859:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/18(火) 18:14:50.63 ID:l6/uEn/40
男「まあ、それはともかく。これからは今までより一層周囲に気を配らないといけなくなる。エルフたちがどこでこちらの情報を掴んで攻撃を仕掛けているのかも現状は分かっていない。そういったことを探るためにも、僕たちはできる限り民間人として振る舞い、多くの情報を仕入れていこう。
 それと、今回僕が二人を率いるリーダーになっているからあらかじめ禁止事項を伝えておく。
一 緊急時以外は戦闘行為は一切禁止する。これは、自分は軍人ではなく民間人であるという意識を己の内に刷り込ませておかないといけないからかな。
二 できる限り一人で行動をしないこと。待機は別だけど、どこかに行くにしても誰か一人は連れて歩くこと。
 それと最後に……」

 そう言って、男は女隊長がかつて自分に言った言葉を思い出す。戦場の空気に呑まれ、記憶が薄れることはあっても、悔恨の思いと彼女たちと過ごした思い出が彼の心に深く刻ませた言葉を。

男「絶対に無茶はしないこと。もし仮に、エルフを見つけてそれを自分ひとりで倒せると思ったとしても、無茶はせず仲間を呼ぶこと。
 そして、万が一エルフと交戦するようなことになった場合、勝ち目がないと思ったらすぐに逃げること。生きてさえいればどうにかなるから。死んだら、もう何をすることもできないから」

騎士「……」

女騎士「……」

男「と、僕がリーダーとして伝えたいことはこんなところ。あとはある程度各々の好きにしてもらって構わない。なにか提案があれば僕が聞いて対応するからいつでも話を持ちかけて」

 そう言って男は話を終えて二人の反応を待った。
 気心知れた二人が相手とは言え、これから隊を率いる身として二人の命を預かる立場になったのだ。たとえ自分自身が危険な目に会い、心壊れようともこの二人だけは守らなければならない。そう、かつて命を賭けて自分の命を守ってくれた分隊の者たちのように。
 そんな風に珍しく次々と蘇る過去の出来事に僅かながら心喜ばせていると、いつの間にか騎士と女騎士が立ち上がり、不満げな表情で男を見下ろしていた。

騎士「……なんでそうやって自分で全部背負い込もうとするかね。どうせなら一蓮托生だくらい言ってくれりゃいいのにな。もう、ここに配属された新兵で生き残ってる仲いい奴らはお前らくらいしかいないんだ。
 もっと、無茶言ってくれよ……」

女騎士「男……私もそう思う。どうせここまで来たなら私たちは運命共同体。死ぬときは一緒だ。なら、三人で協力し合って生き残れるところまで生き残ろう」

男「……そう、だね。二人共僕のために死んでくれる?」

騎士「ああ、もちろん」

女騎士「構わない」

男「ありがとう。なら、僕は二人のために命を賭けよう。この先、どんなことがあっても僕の全力を尽くして二人の力になる」

 そうして三人は拳を重ね誓いを刻んだ。この先どのようなことが起ころうとも、仲間のために己の全てを捧げるという決意をその胸に秘め、彼らはこの基地を後にするのだった。



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