過去ログ - エルフ「……そ〜っ」 男「こらっ!」
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861:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/18(火) 18:50:44.51 ID:l6/uEn/40
 そう、一見するとただ市場をうろつき、特産物を漁っているようにしか見えない三人だが、その実言い渡された任務をきちんと遂行している最中であった。
 すれ違う人々、商品を販売する店主、その他にも酒場での噂話などエルフに関する情報に耳を澄ませて少しでも現実味のある話は詳しく聞いてその場へと向かっているのだ。
 この街に滞在しているのもあくまでも情報収集である。有力な情報を手に入れたのなら、すぐさま現場へと向かい、そこからエルフに関する何かを仕入れれば近くにある軍の駐屯地に向かうという次第である。
 現に、この数週間で二度エルフの情報を手に入れ、結果としてその内の一つがエルフたちが隠れ住んでいる場所だとわかり、殲滅隊を送りエルフたちを殺害することに成功した。もっとも、殺したのは反抗の意思を特に強く示した男勢のみで、女子供は命を見過ごされたとあとになって報告を受けたが、それもどこまでが本当だかは彼らにはわからない。実際、捕虜となった女子供がどのような扱いを受けていようと彼らにはどうすることもできないし、どうする気もなかったからだ。
 自分たちに出来ることをするのみ。エルフは滅ぼす対象であり、人類の敵。それが今の彼らの精神に深く刻まれた考えであった。
 そんな風にして、周囲の人々の話しに男が耳を傾けていたとき彼の視界の端に一人の少女の姿が目に入った。
 服はボロボロで髪の毛も長いこと洗っていないのかくすんで汚れている。瞳に浮かぶ光はひどく濁っており、身にまとう空気は他の物を寄せ付けない拒絶の意志が強く示されている。
 まるで、この世界の全てのものが敵だと言わんばかりに敵意を振りまき、己以外の全てを睨みつけて地面に座り込む少女。その姿を見た瞬間、男の胸に凄まじい衝撃が走った。

男(……似てる)

 思い出すのは家族を失い軍の前にて座り込んでいたかつての自分の姿。誰のことも信じられず、己だけの力でどうにかしてみせると思い、心の壁を作って周りの優しさを拒絶していたころの自分に視界に映る少女の姿が重なるのを男は感じた。
 ただ、違う点があるとすれば当時の自分は今の少女よりもまだマシな状況にあったということだろう。エルフとの戦闘がまだそれほど激化しておらず、被害にあったといっても戦争孤児として預けられた施設で衣食住は確保されていた。だが、あの少女は違う。見たところ、施設に入れてもらえている様子もなく、食事もろくにとっているとは思えなかった。

女騎士「男、どうかした?」

 急に立ち止まり、少女を凝視する男に疑問を感じたのか女騎士が問いかけた。



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