過去ログ - エルフ「……そ〜っ」 男「こらっ!」
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952:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/31(月) 17:57:39.45 ID:EQvKQYAS0
エルフ隊長「ガハッ!」

 そして、気づけば絶対に埋められなかったはずの絶望的な距離を彼は埋め、女魔法使いを突き殺そうとしていたエルフ隊長を遠くへと吹き飛ばしていた。
 誰もが少女の死を想像していただけに、この光景に驚きを隠せずにいた。

騎士「……男?」

 唖然としたまま騎士が彼の名を呼ぶ。だが、その呼びかけに気がついていないのか、彼は無言のまま立ち尽くしていた。

男「やめろ、やめろ、やめろやめろやめろ! もうこれ以上お前たちに誰も奪わせやしない!」

 既に魔力は尽き、今にも倒れる寸前だというのにも関わらず彼は魔法を作り出すため紋様を描き始めた。
 鬼気迫る彼の様子に誰もが身動きを取れないでいる中、吹き飛ばされたエルフ隊長はゆらりと立ち上がり、血走った目で己に一撃を与えた人間を睨みつけ狂ったように叫び声を上げた。

エルフ隊長「この、下等人種めがあああああああああああああ!」

 男よりも早く、魔法紋を描いていくエルフ隊長。大気中に漂う水分が一斉に彼の元へと集まり、凝固し氷となる。巨大な氷柱となったそれは一瞬とも呼べる時間で男めがけて放たれた。
 一言を発するまもなく放たれたそれを、たった一人男だけはまるで時が止まったように見つめていた。
 彼が魔法を発動させるために紋様を描いた指は既に止まっており、氷柱が彼めがけて放たれたその瞬間、彼の魔法もまた発動していた。

エルフ隊長「なっ! なんだ、それは……」

 本来であれば男を含め周囲一体をえぐっていたハズの氷柱はいつの間にか真ん中からポッキリと折れ、その半身を左右に散らしてエルフ隊長の同胞たちめがけて巨大な氷の欠片を降り注いでいた。
 一体何が起こったのか。それを理解しようと考えを巡らすその前に答えは目の前に現れていた。
 赤黒い、本能的に恐怖心を煽る色をした巨大な柱がいつの間にか男の目の前に現れていた。
 先ほどの氷柱に比べ、大きさとしては劣るものの、あれほど分厚い氷を真っ二つにして傷一つないそれは異常なまでの強度を誇っていた。だが、それは彼らエルフが知るどの魔法系統とも違う魔法だった。
 強度とその形態を見れば誰もが土の魔法を思い浮かべるだろう。だが、絶大な強度を誇るその柱の内部は、まるで鼓動をするようにゆらゆらと液体のようなものが揺れ動いていた。
 では、水の魔法系統か? それならば同じ系統を使い、なおかつ熟練度の高いエルフの魔法が破られたことの説明がつかない。
 目の前にあるこれは一体なんだというのか? この場にいる誰もがそう思っていると、ふと一人のエルフがあることに気がついた。
 先ほど、女魔法使いの発動した風魔法によって深く切られたハズの傷口から流れ出た血がいつの間にか消えているということ。そして、再びドクドクと溢れ出てきた血が柱に向かって徐々に移動しているということに……。



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