過去ログ - エルフ「……そ〜っ」 男「こらっ!」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]
2012/12/31(月) 20:15:56.79 ID:EQvKQYAS0
……
…
そうして、基地へと戻った男たちは今回起こった出来事を報告した。初め、西方司令官は彼らの言うことが虚偽だとし、自分たちに嘘をついているとして男たちを空家に纏めて放り込み、真偽の確認に向かわせた兵士たちの報告を聞くまでそこに彼らを閉じ込めていた。
だが、帰還した兵士の報告を聞き、驚きと喜びと恐怖を同時に感じ、彼らの傷が癒えしだいこの基地から元の北方基地への帰還を命じた。
おそらく、西方司令官はこう思ったのだろう。たった四人で中隊程の規模の敵を打倒したことは賞賛どころか勲章に値するものだ。それが自分たちの利益になるかもしれない。だが、同時に彼らはそれだけの力を持っている。もし、自分のこれまでの行動に腹を立て、私欲で反抗の意思を示されたときは自分の命などすぐに消されてしまうと。結果として、彼らとの関わりをこれ以上持ちたくないと彼は判断したのだ。
そうして、西方基地から男たちは再び北方へと向かう。これまでの功績や情報、その全てを報告するために。
だが、奇跡とも言える戦果をあげた彼らの噂は西方司令官から漏れ、兵士たちの口を通じすぐさま大陸全土へと広がった。
そして、それが僅かとは言えこの戦争の行く末に影響を与えた。
曰く、人間の側には恐ろしいまでの力を持った四人構成の分隊が存在する。
曰く、それは一瞬にしてエルフの中隊を打ち破り、四人は無傷で帰還した。
曰く、それは四人だけではなく各地域にそれぞれ四人ずつ存在する。
事実や脚色を織り交ぜられて伝えられたそれは、人間の側に戦争に対する勝機をより確信させ、兵士たちの士気を高めた。
対して、エルフの側にはこの噂を肯定する当事者たちの存在があり、人間側の持つ未だ見ぬ未知の敵への恐怖が兵士たちに伝染し、士気は果てしなく下がった。
そして、それは今後の戦いにて相対する敵の中にその四人がいるのではないかという先入観をエルフに与え、これまで均衡していた戦いのほとんどはほぼ一方的な虐殺となっていった。
そして、その戦いには実際に噂を作り上げた四人の姿も含まれており、戦いの中では実際に敵への脅しとして使われることもあった。
そうして、徐々に人間側がエルフたちの勢力を削っていき、とうとう戦争に終わりが見えだした。
連戦連勝の結果に、休む間もなく続く戦いの疲れを気にするものはほとんどいなかった。皆、勝利に浮かれ酒を飲み騒ぐことで疲れを誤魔化し、一気に戦いを終わらせようとしていた。親元に帰りたい、家族と共に過ごしたい。平和な世界でゆっくりと酒を飲み交わしたい。理由は様々だ。
そんな中、兵士たちの士気を上げる噂の張本人となった男は一人重たい空気を纏って人々の輪から離れ、座り込んでいた。
男(……)
目の下には深いくまができ、寝不足だということは誰の目にも明らかであった。
男(眠れない……)
眠気は来ている。身体も睡眠を欲している。だが、ここしばらく彼は眠ることができなかった。
それは、噂となったエルフとの戦いで己の持つ力に疑問を抱いた時から始まった。殺らなければ殺られる。復讐よりも先にそれを感じ、エルフたちを殺してきた。
だが、あの日に自分の魔法で仲間を傷つけて以来、殺したエルフが夜な夜な夢に現れる。それだけならまだいい。問題はそのエルフの姿が次第に最愛の仲間たちの姿に変わっていくことだった。
自分の放った魔法で仲間たちが死んでいく。騎士は身体を焼かれて炭化し、女騎士は土の塊に圧死させられ、女魔法使いは傷口から流れた血が凝固し首や目、心臓を貫かれていた。そんな光景を毎日のように見続け、それでもなお戦い続けた。擦り切れる心、覚めることのない悪夢。この戦争が終わればそれを見ることもなくなると、浮かれている他の兵士たちと同じように一刻も早く戦争を終わらせるために戦い続けた。
そんな彼の話を聞いた仲間たちは当然のように彼を励まし続けた。大丈夫だ、そんなことは起こらないと。鼻で笑って否定した。
だが、男は怖かった。もしも、その夢が現実に起こってしまったらと思うと彼は耐えられなかった。
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