14: ◆QkRJTXcpFI[sage saga]
2012/11/30(金) 12:05:28.14 ID:nlsr789Z0
「とりあえず人の多ィ街に出よう。閑静な住宅街では感情の動きようがなィ」
電車に乗って三十分。少年は滅多に訪れることのない都会に着いた。
「さて、適当にぶらつくとしようか」
宛のない少年の散歩が始まった。
人ごみの多いところに紛れればなにかしら感情が芽生えるかと考えたが、
ろくに期待していなかった"蜃気楼"はやっぱりダメかと顔をしかめる。
少年「……なにをすればいいの」
「そうだな……ナンパでもしてみ」
少年「嫌だ」
珍しくも即答である。ふと"蜃気楼"は嫌悪感も感情ではないかと考えたが、
嫌悪感だけではなにも始まらないと肩を竦めた。
「じゃあ逆に聞こう。なにかしたィことはなィか?」
少年「……?」
「相変わらず無欲だな。感情が欠落してィるのだから当然とィえば当然か」
喜びを得るから望むのであり、喜びを望むから得たいのである。
それが"蜃気楼"の描く欲望の成り立ちだ。感情が少なければそれだけ欲望も欠落する。
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