8: ◆QkRJTXcpFI[sage saga]
2012/11/30(金) 12:00:50.65 ID:nlsr789Z0
少年「……」
少年は口も開かず、かといって箒も取らずに立ち尽くした。
産まれてこの方、湧いたことのない感情に戸惑っている。
ぐつぐつと腹の底が煮え滾り、自然と噛み締められた奥歯が軋む。
握られた両の拳が唸って俯きながら肩が震えた。
どうしたんだろう。
これはなんだろう。
得たことのない感情は不安も同時に付き纏った。
そんな少年に答えたのは、外ではなく内から発せられたあの声。
「それが怒りってやつだ。
少年、君はまず怒り方を知るべきなんだ」
"蜃気楼"の言葉が途端に少年の心を恐怖に染める。
すると強張っていた全身から緊張が解かれ、埋め尽くしてた不安から開放された。
少年「……ごめん、掃除、するから」
男子「最初っからそう言ってりゃいいんだよ!」スタスタスタ
「まったく、呆れるほどに君は頑固だ。
けれどィつまで君の大好きな臆病は味方をしてィてくれるかな?」
視える筈のない美が足を組んで嘲笑っている。
行く先の視えないこれからに、少年は一人怯えていた。
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