過去ログ - 【fate】安価で聖杯戦記・外典【開戦】 -SS速報VIP

過去ログ - 【fate】安価で聖杯戦記・外典【開戦】

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9: ◆q.TF664746[saga]
2012/11/30(金) 22:33:33.03 ID:2M244x3Ho

「あいてっ」

―ることはなかった。聖杯の降臨以降、貴方は結界を張れなくなっていた。それどころか貴方が「神力」と呼び、人が「魔力」と呼んでいたアレが貴方の中からすっかり消えていた

これが聖杯に望んだもう一つの奇跡

特殊な力を自らかなぐり捨てたのだ

勿論、幼少の頃から自分の中にあったそれを捨てることに何の感慨もなかったわけではない。事実これがなければ貴方は戦争に生き残っていなかったのだろう

だが……貴方は神に仕える神主である前にタダの一学生だ

所詮はただの人間。こんなものは必要ない。持っているがゆえに厄介ごとに巻き込まれない保障もない

「人の身に余る力は、自然に帰すべし」

そういった理由から決心したのであった

ちなみに自然に帰すと願ったからか、貴方が力を失った場所は小さな花畑とでも言うべき有様になった。公園のど真ん中にいきなり花畑が出現したと、軽く事件にもなったほどだ……

制服に着替えながら、ちょっと前に新聞に載っていたある女性のことを思い出す

天性の勘と、凄まじい幸運で次々に遺跡を発掘している謎の探険家の話

彼女のことだ。財宝があれば、最低限は政府に引き渡すかもしれないが絶対ちょろまかしているだろう――そのことを考えると、笑みが零れた

――貴方は神社の鳥居を潜り抜ける

春になって卒業したら、まずは少しだけ神社を空けさせてもらおう

山を越え海を渡って、数ヶ月の間だけでも彼女と合流しよう。言葉のことは大河に教わってから行けばどうにかなる

彼女に冒険の何たるかを教わってから、帰ってきて暫く神主をやる

将来どちらに身を置くか決めるのは、それからでいいが――とにかく今はまず冒険をしたい気分であった

「待ってろよライダー、絶対にお前の見てる世界まで追いついて見せる」

――お前が語った物語と同じような冒険は、流石に今じゃ難しいかもしれないけどな

――そうかい？大将ならきっと胸躍るような大冒険が出来ると思うけどねェ？

――じゃあ、その時はお前をガイドとして雇うよ。護衛兼ガイドってな

――大将にはこれでも世話になったからね、特別に格安で雇われてあげようじゃないか!!

「――いってきます」

【エピローグ/END】

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