過去ログ - ほむら「願いの果て」
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863:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/07/07(日) 03:35:48.37 ID:1eH1n7KF0
 
 
魔獣「後はあなたが諦めて、私に体をあけ渡せば新たな世界を作れる」

魔獣「呪いと絶望に満ちた世界をね」

魔獣「だから、暁美ほむらの事はわたしに任せて、あなたはわたしの中で眠っててね」

まどか「……」

魔獣「心配しないで、あなたには飛び切り素敵な悪夢を見せてあげるから」


屈託の無い笑顔を向けながら、まどかに近づく。


まどか「……なんで」

まどか「なんで、こんな悲しい事ことをするの……?」

魔獣「……ふふっ」


小さく嗤うとまどかのあごに人差し指をかけ、くいと持ち上げる。
それに驚いたまどかと魔獣、同じ顔をした二人の視線が重なる。


魔獣「それはね……私があなた達、人の呪いから生まれた存在だから」


魔獣の目は星の無い空よりも暗く、吸い込まれそうなくらい冷たく深く
そこには涙を堪えるまどかの姿が映しだされるだけで、人の持つ感情からは最も遠い色をしていた。


魔獣「あなた達が希望を求めるように、私たち魔獣はただ絶望を求めるわ」


そっか……違うんだ……

まどかは悟った、根本的に人とは考え方が異なるのだと。価値観の共有など、出来はしないのだと。


魔獣「憎しみ、悲しみ、嘆き、怒り、それら全てが私の悦びになる」

魔獣「だから、世界全ての犠牲が凝縮された涙を流して、その可愛い顔を歪ませて、ねぇ、私をもっと悦ばせて?」

魔獣「あぁ……あなたがくれる宇宙規模の絶望はとても、とてもとても美味しそう……」


恍惚の表情でまどかを眺める。



魔獣「んふっ。ありがとう、まどか。私の為に願ってくれて」



もう離れられないよと、魔獣は囁いて、軽く微笑んでから茫然自失としたまどかを背にして
また宙をひらひらと漂いだした。
 


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