2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/06(木) 21:48:11.29 ID:E7FR2Dvu0
ここは奈良県吉野のとある山奥だ。『私』は二人と三匹で、今日もカッパの泉へと足を運んでいる。
人間はわたしと坂本さん。三匹というのは、我が家の仔ガッパ、かっくん、キューちゃん、かぁたん、である。
齢二十一にもなる老ガッパ・カーサンは、魂を吸い取られるといって、このカッパの泉を避けているので、農作業をしている母とお留守番だ。
カッパ喘息を発症して、東京育ちのかっくんはうちの子となった。
カッパに不思議な生命力を与えるこの泉に足繁く通い、かっくんの回復を促しているわけだが、
おまけのキューちゃんとかぁたんはまったくのお遊び気分だ。
「かっくーん、あんまりはしゃいじゃダメよー」
「キャッキャッ」
三匹で水中をはしゃぎ回り、兄貴分のかっくんを追いかけっこに巻き込んでいる。
見かねて坂本さんが注意しているのだが、泉の中の彼らには右から左だろう。
関係ないが、なんとはなしに、結婚の気配を漂わせている私と坂本さんだけど、私は未だに彼女を『坂本さん』としか呼べていない。
「クワっ」
「クパパパパパ」
「キャー」
おいおいおい、いくら かっくんが元気を取り戻しつつあるとはいえ、ちょっと無茶が過ぎるぞ。
私は水中相撲三つ巴を始めた三匹を引き離すべく、リュック片手に泉に突入した。
実際には坂本さんの『なんとかしなさい』という無言の圧力に屈したのだが。
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