過去ログ - 言うほど新しくもないジャンル『狸娘』
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175: ◆My48Vfouj.[saga]
2012/12/25(火) 01:21:09.80 ID:AXOKfUKAO
……………………

男「(その日の夜は、いつにもまして冷えた)」

男「(吐く息は白く、上着の下に何枚も重ね着しないととてもじゃないが
外なんか歩けやしなかった)」

狸娘「あ……ここは……あたしが車に跳ねられちゃったとこだ」

ぶろろろ

狸娘「きゅんっ！びっくりしたぁ！」

男「……ここでさ、同じ様に車に跳ねられちゃて死んだタヌキが
いたんだ」

狸娘「………………」

男「どこかの誰かが俺と同じ様に怪我をした足にハンカチを巻いて
やったんだけど……そのタヌキは、結局助からなかった」

狸娘「可哀想……」

男「……よし、ここらへんでいいかな」

がさがさ

狸娘「ね、男さん」

男「ん？」

狸娘「あたし、お墓ってとこでも見た事あるんですけど……どうして
死んじゃった人に食べ物とかあげるんですか？」

男「そうだな……人や動物は死ぬと大抵天国に行くんだが、たまに
帰って来た時に好きな食べ物があると嬉しいだろ？」

狸娘「……そのタヌキ君も、帰って来るかな？」

男「多分な」

狸娘「……あっ！」

男「うー……冷えると思ったら雪か……」

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