過去ログ - P「君と過ごす1週間」
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118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/04/18(木) 14:10:51.56 ID:rUkd4hw50
「調子、良さそうだな。これなら心配はなさそうだ」
「心配って何が? shiny smileの完成なら、もう目の前だよ」
「そうじゃないさ。ただ……完成するなら、ちゃんとお披露目をしないとな」
「あっ……それって、もしかして」

俺の言葉に、響が嬉しそうな顔をする。俺の言いたいことを察してくれたようだ。

「明日、響には歌番組のオーディションを受けてもらう。当然、使う楽曲はshiny smileだ」
「やった! 流石プロデューサー、そうこなくちゃ!」

本当はライブで派手にお披露目をしたかったが、765プロ名義では961プロのアイドルである響を使うことが出来ない。
だからと言って、961プロと偽って勝手にライブをするのは危険すぎる。
その点オーディションならば、あくまで響が自分の意思で出場するという建前を使える。
出場の登録が間に合うか心配だったが、響の名前を出しただけで出場を承諾してもらえた。
こういうズルが通ってしまうのは響の影響力のおかげなのか、それとも961プロの影響力のおかげなのか。
……ヤメだ、考えてもしょうがない。
俺は頭から余計な考えを追い出して、この後のレッスンについて考える。

「午後はダンスを中心に仕上げていこう」
「いいの? 自分、ダンスは余裕だからこのまま歌中心のレッスンでもいいと思うけど」
「言いたいことはわかる。でも、やっぱり響と言ったらダンスだ。強みである部分だからこそ、より完成度の高いものにしておきたい」
「なるほど。確かにどれも中途半端は不味いもんね」

その後、俺と響は昼飯を食べて、午後のレッスンに臨んだ。

「ターンが早い!」
「はい!」
「次の動きへの繋ぎが雑だ。集中だ、集中!」
「はい!」

響のアレンジの加わったダンスを見て、俺がアドバイスを送る。
ダンスに関してはほぼ完成形ではあったが、そこから更にクオリティの高いものにするため、俺は響に対して厳しく指導した。
ターンのタイミングや体の動きによる表現などの、響が意識を向けきれない細かい部分を俺はいやらしい程に指摘していった。
端から見れば難癖をつけているようにも見えるだろう。
それでも響は俺の指導に嫌な顔をすることなく、むしろ真剣な表情で聞いてくれた。

「よし……今日はここまでにしよう」
「えっ、もう終わりか? いつもより随分早いぞ」
「明日のオーディション、響には最高の状態で挑んで欲しいからな」
「しっかり休めってことだね」
「そういうことだ」
「休みなら昨日もらったけどね」
「それとこれは違うだろうが」
「それもそうだね……んっ?」

響の視線が、俺の胸元あたりに集中する。

「どうした?」
「……」

響は黙ったまま視線を変えずに、目を細めてジッと見てくる。

「何かゴミでもついているのか?」
「いや、ちょっとね。着替えてくるね、プロデューサー」
「あ、ああ……」

そのまま響は更衣室の方に行ってしまった。
何かあったのだろうか?

「プロデューサーさん」

後ろから声がする。
振り返ってみると黄色のリボンをつけた可愛らしい女の子がいた。
俺はその女の子をよく知っている。
俺と同じ夢を持っている女の子だ。
ここ一年で、一番多くの時間を共有した女の子だ。
歌とお菓子が大好きな女の子だ。
俺の担当アイドル、天海春香がそこにいた。


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