128:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/04/26(金) 02:26:51.41 ID:u/Na3M5k0
7日目の朝、目覚めは最悪だった。うん……本当に最悪。
ゲンナリしているっていうか、猛烈にお腹が空いていた。
「泣く」って、かなりエネルギー使うんだよね。
昨日のから、ずっとプロデューサーと春香のことが頭から離れない。
アイドルがプロデューサーの繕いをする。
どう考えても普通じゃない……
春香はプロデューサーのことが好きなんだ。
それに多分、プロデューサーも春香のことが……本人は意識してはないんだろうけど。
二人は惹かれあっている。
自分は蚊帳の外、とんだピエロだ。
自分、春香に嫉妬しているんだ。
プロデューサーから、あんなに優しい顔を向けてもらえるが春香が気に食わない。
春香は自分の知らないプロデューサーの顔をたくさん知っているんだ。
プロデューサーも自分には決して向けない、春香だけに向ける特別な顔を持っているんだ。
ズルいよ、ヒドイよ……どうして自分じゃないんだ。
なんだか頭の中がグチャグチャした。
このまま、もう一度寝ちゃおうかな。
でも、そんな風に部屋の中で腐っているのは嫌だ。
だからって、素直にプロデューサーの元へ行くのは、もっと嫌だ。
自分は何度か寝返りをうって考えた後、とにかく外へ出ようとだけ決めた。
・
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ダラダラと知っている道をただ歩きまわる。
何の意味もない。
目の前には見慣れた光景が広がっている。それもそうか、知っている道なんだから。
何の感動もない。
隣をみる。誰もいない。
何の変化もない。
ほんの一週間前までは、自分は独りだった。それが普通だった。
独りが二人になって、二人が独りになって、元に戻っただけなんだ。
今まで通り、自分は独りなんだ。
なのに、どうしてこんなに物足りないんだろう。
つまらない。
しばらく歩いた自分は、公園のベンチに座っていた。
公園に建てられている時計を見てみると12時半を指している。
オーディションは午後からなので、時間的にもうすぐかもしれない。
プロデューサー……どうしてるんだろう?
会場で待っているのかな。
……って、どうして自分がそんなことを気にしなくちゃいけないんだ。
765プロのプロデューサーのやることなんて、961プロのアイドルの自分には関係ないじゃないか。
むしろ、信用を落としていい気味だ! 清々する!
でも、もしそうなったら……それは自分のせいだよね。
自分のせいで、プロデューサーが悪く言われちゃうのか。
「ああー、もう!」
プロデューサーは嘘つきで、自分を傷つけた人なのに……
「どうして、こんな時にまでプロデューサーのこと考えちゃうんだよ!」
自分の叫びが空に響き渡る。
「荒れていますね、響」
「へ?」
突然かけられる声に、自分は思わずマヌケな声を出してしまった。
その声は、静かだけど不思議とよく通る声だった。
声をかけてきたのは、自分と同じ961プロのアイドル、四条貴音だった。
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