156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/22(水) 01:44:25.32 ID:zqNWMbUt0
IUを制した翌日、いつものように事務所に来るとそこには既に春香がいた。
なんでも社長に今朝の朝礼に参加するようにと言われたそうだ。
早く来るためにタクシーまで使ったらしい。
「後で、ちゃんと音無さんに報告しとけよ。会計から落としてもらえ」
「えっ、いいですよ。そんなタクシー代くらい」
「社長から言ったことで金がかかったんだから、それくらいは当然の権利さ。貧乏事務所の765プロに気を使ってくれたのは嬉しいけど」
貧乏とは言え、春香の活躍のおかげで765プロの財政もだいぶ立て直せている。
アイドルのタクシー代までケチる程には落ちぶれちゃいない。
「おはよう、諸君。今朝は音無くんが休みなので、私が朝礼を執り行うとしよう」
社長室から出てきた社長が、コホンと1つ咳払いをして、場の雰囲気が引き締める。
俺や春香、それに他の社員も姿勢を正す。
「まずはIU優勝おめでとう。我がプロダクションから、こうして真のトップアイドルを生み出せて誇りに思うよ」
「「はい。ありがとうございます、社長!」」
俺と春香は同時に頭を下げた。
「しかし、トップアイドルになった以上、これからは天海くんに憧れてたくさんの女の子が、アイドルが天海くんを目指すだろう。天海くんには、そういった女の子の憧れであり続けてもらいたい。それが追われる者の責任だ」
「は、はい! 頑張ります!」
「君も天海くんが天海くんのままでいられて、尚且つトップアイドルでいられるように精進してくれたまえ」
穏やかだけど低い励ましの声が、プレッシャーとなって俺と春香にのしかかる。俺と春香はもう一度、頭を下げた。
「「ありがとうございます!」」
「うむ。以上で朝礼を終える。では、今日も一日頑張っていこうか!」
社長の号令に、俺を含めた全ての社員が「はい!」と大きな声で応えた。
普段は気さくで笑みのたえない親みたいな人だけど、こういう時には、やっぱりこの人は、人の上に立つ人だなと実感する。
社長の下で働けて良かったと思う。こういうスイッチのオンオフみたいものを使い分けられる人を目指したいよな。
上司にアイドル……俺は恵まれているな。
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