過去ログ - P「君と過ごす1週間」
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53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/02/20(水) 02:23:16.75 ID:9J4WT4DW0
輝いている。我那覇響という女の子が輝いている。
この輝きを俺は知っている。
響のプロデューサーを受け持った最初の日に、俺を夢中にさせたダンスを披露した時の輝きだ。
俺の三角形の指示―審査員の記憶に強烈に残すという意味で「思い出アピール」と名づけている―に従い、ステージの上で猛アピールする響。
存在感が半端じゃない。
これが収録とかだったら響のバックでフラッシュが起きて、後光が指している構図になっていたに違いない。
響は輝いている、太陽のようだ。
でも、その輝きは直視できないような、ジリジリと地上を焼きつけるそれとは違った。
優しくて温かい。うん、太陽じゃなくてお日様っていう方がしっくりくる。
まあ、意味は同じだしオーバーマスターに優しくて温かいという表現は合わないからチグハグな気もするが。
響の顔を見る。表情こそ昨日の収録の時と同じだが、雰囲気が違う。
楽しめてる……そういうことなのかもな。
スピーカーから流れる音楽が止み、響のパフォーマンスが終了する。
ああ、終わっちゃったか。もっと見てたかったんだけどな。
ステージから降りてきた響が俺に駆け寄ってくる。

「お疲れ、響」
「うん、765プロもお疲れ様」
「俺は指示を飛ばしてただけだよ。実際にパフォーマンスしてた響ほどじゃないさ」
「でも、指示を飛ばすにだって頭は使うだろ?」
「まあな」

アピールするジャンルの配分を間違えたりすると勝てるオーディションも負けるからな。

「だったら、やっぱりお疲れ様だよ」
「そ、そうか……」

少し意外だった。まさか響から労いの言葉がもらえるとは。



「皆さん、お待たせしました。それでは本日の審査結果を発表します」

会場の中で審査員の声だけが聞こえる。
オーディションの結果を聞くこの瞬間だけは、何度経験しても緊張する。
合格者は響か魔王エンジェルのどちらかだ。

「今回の審査結果ですが……」

審査員が一旦そこでためる。
そういう煽りはいいから早くしろ。どうせ結果は出してるんだから。

「六番、961プロ所属。我那覇響さんに決まりました」

よっしゃ!
審査員の言葉を聞いた瞬間、俺は小さくガッツポーズした。

「響、やったぞ。俺たちが勝ったんだ!」

俺は周りの視線をはばからず、はしゃぐ。
大人気ない男と思われるかもしれないが、こればかりは勝者の特権だ。

「やったね、765プロ!」

そう言って響は、俺に向かって右手の肘を曲げながら上げた。
俺もそれに合わせて、自分の右手の肘を曲げながら上げる。
何故そんなことをしたのか。それが分からないくらいに俺の動作は自然だった。
無意識の内に響のして欲しいことを察知してやれたのかもしれない。
響は笑顔だ。たぶん、それを見ている俺も笑顔だ。
お互いの腕が軽くぶつかり合う。
響と何かが繋がった気がした。

「……やったね」
「……ああ、やったな」



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