54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/02/20(水) 23:53:32.23 ID:9J4WT4DW0
凄くいい気分だぞ。やっぱり勝つっていうのは気持ちいい。
黒井社長、驚くだろうなあ。
なんて言ったって、魔王エンジェルに勝ったんだから。
まっ、自分なら当然だけどね。
事実上のトップアイドルの魔王エンジェルを倒したってことは、今は自分がトップアイドルってことなのかな。
やっぱり自分は黒井社長の言うとおりトップアイドルになれるってことだ。
自分にいい波が来てる。この波にのっていけば、IU優勝もきっと簡単だな。
ああ〜早く正真正銘のトップアイドルになって、故郷のみんなに会いたいぞ!
おっと、その前に765プロに会いにいかないとな。外で待ってるみたいだし。
「ちょっといいですか、我那覇響さん」
「えっ?」
突然、後ろから声をかけられる。振り返るとオーディションの時に合格者を発表した審査員がいた。
なんだよ、せっかくいい気分って時に。
「何の用ですか? もうオーディションは終わって、自分の合格のはずですけど」
「ええ、それはわかっています。大変、素晴らしいパフォーマンスでした」
「そう……ですか」
じゃあ、なんでわざわざ呼び止めるんだよ。
「それで要件ですが、これを我那覇さんに渡しておきたくて」
そう言って審査員の人は、自分に二つ折になっている一枚の紙を差し出す。
手にとって見てみると、そこには自分が今日出たオーディションの番組名が書いてあった。
「これは、オーディションの」
「はい、結果用紙……というより審査員の評価用紙です。そこにはアイドルがアピールで得た評価、我々は星と呼んでいるんですが、そこにはそれをとった数が載っています。それに加えて、各審査で得たアピールを数値化したデータ、ジャンル毎の順位も載っています。普通はこれを各アイドルに分けて渡すのですが、これは審査員用ですのでオーディションに参加したアイドル全ての情報が載っています」
「そ、そんなに詳しいことまで載っているんですか?」
思わず言葉が上ずった。
だって、これを見れば今日のオーディションに参加したアイドルの苦手ジャンルとかが分かっちゃうじゃないか。
「それで、自分にこれをどうして欲しいんですか?」
「我那覇さんには、この評価用紙を黒井社長に渡して欲しいんですよ」
「えっ? でも、それって……」
違反行為じゃないのか?
自分の疑問に対して審査員は心得ているとばかりにしゃべりだす。
「961プロ……いえ、黒井社長にはとてもお世話になっていますから。これはそのお返しですよ」
「そ、そうですか。でも、それなら黒井社長に直接渡せばいいじゃないですか?」
「もちろん普段は黒井社長の元へ郵送で送っているのですが、今回は何分事情が違いますから。なので、我那覇さんに直接渡していただける方がいいと思いまして」
「?」
「まあ、とにかくその紙を黒井社長に渡してくださいね」
「あっ、はい……」
勢いに流されて、思わず了承してしまった。
自分の返事を聞くと審査員は「黒井社長によろしくと伝えてください」とだけ言って、足早に去っていってしまった。
一体、なんだったんだろう?
まあ、いいか。要はこれを黒井社長に届ければいいんだからね。
オーディションの評価用紙か。
自分は勝ったけれど、実際のところ審査員たちにどういう評価をされていたんだろう?
いやいや、見ちゃダメだぞ。これは黒井社長に渡す大事な書類だ!
でも、やっぱり気になる。
辺りを見回す。右よし、左よし、前よし……後ろもよし。
ドキドキしながら、紙を開く。
「さーて、自分の完璧なパフォーマンスの評価は……」
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