過去ログ - P「君と過ごす1週間」
1- 20
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/14(金) 09:14:39.62 ID:lyqAXWj30
その日の朝は、とても気持ちのいいものだった。
俺の担当アイドル、天海春香が全てのアイドルの頂点を決めるIUの予選を勝ち抜き、本選に進んだ日の翌日だったからだろう。
アイドルランクもAに昇格し、名実共に先頭集団の仲間入りだ。
真のトップまであと少し、その興奮のせいだったのかもしれない。
目が覚めた時はいつもに比べてかなり早い時間だった。
二度寝を考えたが、せっかく早起きしたのだからたまには優雅に朝食を楽しもうと思い、着替えて外に出た。
春香の人気も上がるのに比例して、俺の給料も上がったおかげで白飯に漬物というひもじい飯に悩まされることもない。

「さて、何を食べるかなあ」

和食か洋食かと悩んでいると……

ズシーン!! ズシーン!!

「な、なんだ? この地響きは……って、うわああああ!?」

地響きのする方向、後ろを振り返ってみると黒い影が俺を覆う。
次の瞬間には、俺の体は黒い影に飛びつかれて倒れていた。
振り払おうと、無我夢中になってもがきあがく。
しかし、黒い影の主にがっちりと組み敷かれてしまっているためうまく力を入れることができない。

「いぬ美―! どこ行った、いぬ美―! 自分が悪かったからさー!」

遠くから聞きなれた声が聞こえてくる……この声は、我那覇響?

「あ、なーんだ! 765プロとじゃれていたのか!」

じゃれている? 襲っているの間違いじゃないのか?
だけど、今の響の言葉でつかめてきた。こいつ、また動物を逃がしたんだな。

「またお前か、響! なんなんだ、このクマみたいなバカでかい生き物は!?」
「クマじゃないよ。いぬ美はセントバーナードっていう種類の大型犬だぞ。まあ、いぬ美はその中でもかなり大きい方なんだけどね。普通の3倍くらいあるんだから」

3倍って、どっかの専用機じゃないんだぞ。あれは乗り手の技術の賜物らしいが。
にしたって、いくらなんでもこの犬は大きすぎる。
というか、いぬ「美」?

「なあ、響、ちなみにこの子の性別は?」
「そんなの当然メスだぞ。でなきゃ、いぬ美なんて名前つけないし」
「そ、そうか……」

顔を上げて、目の前の巨大な犬の股の間を見てみる。
なるほど……ついていない。確かにこの犬はメスだ。

「いぬ美は朝早くじゃないと歩かせられないんだ。いぬ美をみると、なぜか皆悲鳴をあげるんだよ」

おかげで健康診断に連れて行くのにも一苦労らしい。
まあ、こんなのが日中の街中を歩いたら大騒ぎになるだろうな。

「そうだ、765プロがいぬ美を隠しながら動物病院まで歩いてくれると助かるぞ!」
「犬が巨大すぎて俺の体じゃあ隠しきれないと思うけど、時間もあるし別にいいぞ」
「やった! 765プロって時々いいやつだよね。変態のくせに!」
「変態は余計だ。それより、はやくこの犬をどかしてくれ……重い」
「あっ、うん。ほら、いぬ美おいで」

響の言葉で、いぬ美が俺の上からどいてくれる。
俺は立ち上がってスーツについた、いぬ美の毛を払う。
一応、あとでクリーニングに出しておこう。

「それじゃあ行くぞ、765プロ! しっかりいぬ美を隠してくれよ!」
「はいはい、わかったよ」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
171Res/177.48 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice