過去ログ - P「君と過ごす1週間」
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86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/03/22(金) 04:10:44.85 ID:Kg/SO2Z+0
「プロデューサーは明日、仕事しないこと!」

響は俺に向かってビシィっと指をさしながら宣言した。
いきなり何を言い出すんだ?

「自分、明日買い物にいくつもりなんだ。服とかアクセサリーとか」

へえ、響は休日をそうやって過ごすのか。春香はケーキ屋とかを巡っていたりしてるんだよな。

「それでプロデューサーには荷物もちになってもらうからね!」

ちょっと待って。いま、なんて言った。
荷物もち?
頭の中に昭和のドラマとかにある男が大量の箱をもちながら女についていく1シーンが思い浮かぶ。
流石にあそこまではいかないだろうけど。
でも、待てよ。なんといっても響はSランクアイドル。俺なんかよりずっと高いギャラをもらっているだろうし、ありえるかもしれない。
……って、そうじゃない。

「どうして、俺が響の荷物もちをしなくちゃいけないんだ!」
「自分、言っただろ。プロデューサーは明日、仕事しないことって」
「いやいや……俺にはやることがたくさんあってだな」

春香のライブの企画や、今後の売り方とか。

「それは「我那覇響のプロデューサー」として必要なことなの?」

響が小さな声で何かを言ったけれど、よく聞き取れなかった。

「どうした、響?」
「ううん、なんでもない。とにかく明日は自分の荷物もちは決定だからね」
「あのなぁ、俺は響の小間使いなんかじゃなくて」
「いいでしょ。こんなこと頼めるの、プロデューサーしかいないんだ」
「うぅ……」

目をウルウルさせて見つめてくる響。芝居がかっていて胡散臭かった。
それでも女の子の涙を見せられるとどうも弱い。なんだか罪悪感が湧いてくるんだよな。
結局、俺は折れることにした。

「よしっ! 狙い通り!」

響、心の声が漏れてるぞ……

「じゃあ、明日は」
「駅前ね!」

どこで会うんだと聞く前に即答された。

「それじゃあ、また明日ね。プロデューサー!」
「あ……ああ……」
「ちゃんと来てね!」

響はまくし立てるように言い終えると、いつものように走っていた。
響の背中が小さくなっていく……と思ったら、戻ってきた。
忘れ物でもしたのか?

「どうしたんだ?」
「待ち合わせの時間、決めてなかったよ。しっかりしてよね、プロデューサー」
「俺のせいではないだろ。何時にするんだ?」
「10時がいいかな。それと……」
「まだ何かあるのか?」
「うん……あのさ、鮭と梅干以外で何が好きなの?」
「は?」
「だ〜か〜ら〜、おにぎりの具だよ。鮭と梅の他に何が好きなの?」
「なんでそんなことを聞くんだ?」
「いいから答えてよ!」
「えっと……おかか」
「本当にシンプルなのが好きなんだね。でも、わかったぞ!」

そう言って響は今度こそ俺の元から走り去っていった。
なにがわかったって言うんだ、いったい?


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