過去ログ - 春香「私たちは看守でも囚人でもない」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/13(木) 00:01:04.43 ID:GZAOus0HP
元々こんな実験、気は進まなかった
でも周りのみんなもすごく乗り気で、そう思うとなんだか楽しくなってきたけれど

やっぱり何か変だと感じたのはセットに入ったとき
ここまで精巧につくられていることへの違和感……これは少なくとも、もうごっこなんかじゃない

それでも、皆もまさか本気でやるなんて思ってなかったでしょう
ふざけて囚人の演技をする亜美や真美を見ていたらそんな違和感はなくなったような気もした


次第に話すこともなくなり見回りにくる看守と会話を交わしまた監獄の中で雑談
その繰り返し。ただただ退屈だった私たちはもう、いえ少なくとも私は囚人らしくなりつつあったのかも

何故って看守役は牢屋の外から話かけてくる。鉄格子の中から手を伸ばせば握手くらいできるかもしれない
でも、そのどこか冷たくて息苦しいような環境に、いつしか私は開始前より大きな不安に包まれていた


これといって変化もないまま時間がたち、一つの事件が起こる
夕飯。鉄格子の隙間から人数分の茶碗が渡され、それが私の手に渡ってきたとき、一瞬何が起きたかわからなかった

でもそれはすぐに理解することになる。囚人、そういうことなのね
病人食のようなただの真っ白なお粥が粗末な茶碗によそわれていた。皆言葉もなく恐る恐るそれを啜る

もちろん箸はあるし、味もないこともないから非人道的とまではいかないだろうけど
私たちにとって、今おかれている状況を理解するには十分だった


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