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2012/12/18(火) 00:18:13.61 ID:NZiZepMN0
曰く、あらゆるものには最も緊張している部分である「目」がある。
曰く、この「目」を手のひらに移動させて握りつぶせば、どんなものでも破壊できる。
曰く、きゅっとしてドカーン。
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2012/12/18(火) 00:19:49.17 ID:NZiZepMN0
それほど強大な力を持っている故に、吸血鬼は弱点が多い。
太陽はその最たるものである。
他にも、流水を超えられない。
招かれないと他人の家に上がれない。
銀が苦手。
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2012/12/18(火) 00:22:11.20 ID:NZiZepMN0
眠い。とにかく眠い。
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2012/12/18(火) 00:23:54.32 ID:NZiZepMN0
それもそのはず、いきなり見知らぬ世界に放り込まれたのだから。
お蔭で一晩中この大きな大きな「人里」で――右も左も分からないのに――ただひたすら彷徨い歩く
羽目になってしまった。
そして、東の空から太陽が「おはよう」するころにこの公園にやって来たのだ。
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2012/12/18(火) 00:25:54.53 ID:NZiZepMN0
寝てしまったら、そのまま自分と言う存在が消えてなくなってしまいそうだったから。
そう直感した。そもそもが、ここは本来私がいるべき場所ではないのだ。
そう。ここではフランのような妖怪は存在しづらい。
言ってしまえば、彼女はこの世界にとって不純物でしかないのだ。
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2012/12/18(火) 00:28:38.36 ID:NZiZepMN0
今のフランは霞のような儚い存在だ。
寝たら最後、そのまま消えてしまうかもしれない。
従って、フランは先ほどから眠らないように気を紛らわせるために哲学をしていたのだが、
かえって眠気を加速する結果になってしまった。
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2012/12/18(火) 00:29:37.62 ID:NZiZepMN0
ふと、目の前を歩く人間たちに目が行った。
むくむくと、それまで眠っていた好奇心が自分の中で起き上がる。
そのおかげか、睡魔に犯されかけていたフランの意識が徐々に覚醒し出した。
今まで眠くて何となく視界に入れていたに過ぎない人間たちだったが、よく見ればその年齢構成に
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2012/12/18(火) 00:31:59.87 ID:NZiZepMN0
子供が多いのだ。
自分の姿と同じような小さな子供から、うちのメイドと同年代と見える少年少女まで、その年齢層に
はばらつきがあるが、総じて皆人間の子供である。
その子供たちの間に、ちらほらと大人が混じっている――と言うのが、目の前を行き交う集団の
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2012/12/18(火) 00:34:21.47 ID:NZiZepMN0
フランが人間たちを観察するように、向こうも彼女を見ていた。
人間たちは、何人かのグループ(男女で別れた数人ずつの小グループだ)に分かれて歩きながら、
ちらちらとフランを見ては、ひそひそ話していた。
けれど、彼らは見ているだけで、フランに話しかけようとはしなかった。
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2012/12/18(火) 00:36:33.98 ID:NZiZepMN0
それに、フランの格好もだいぶ奇異に見えるに違いなかった。
見た目こそ幼子のフランだが、人間とは決定的に違う物が体に付いている。
羽根だ。
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