53:1[saga]
2012/12/19(水) 01:30:26.66 ID:9DCke6ux0
フランは、焦っていた。
このままでは、身動きの取れないまま日向に引きずり出されてしまう。
本来なら、ちょっとやそっと日光を浴びたぐらいでは、死にはしないのだが、
今のこの状態を鑑みると、ほんのわずかでも致命的になる気がする。
不快な柔らかさと、日光への恐怖から、だんだんフランはテンパッてきた。
加えて、本来の力を使えず、人間にいい様にされていることに対するストレスも溜まっていた。
どうする? どうする?
こんな人間の小娘に、自分の十分の一も生きていない様な餓鬼に、
この吸血鬼フランドール・スカーレットが翻弄されるなんて、あってはならないのだ。
いや、プライド云々はともかく、これは切実な生命の危機である。ほんとに、どうする?
そんなフランを抱きとめる少女は、葛藤を何とか抑えつけ、我に返った。そして、
「じゃあ、交番に連れて行ってあげるわ」
と言って、日向に向かって一歩踏み出した。
ああああ、もうどうにでもなれぇぇぇ!!
フランは心の中で絶叫した。そして、無意識のうちにある行動に出た。
それは、本能に従った行為。
吸血鬼が、当然する動作。
すなわち、吸血。
フランは、思いっ切り少女の首元に噛みついたのだ。
「ぎゃあああああああ!!」
少女の悲鳴が朝の公園に響き渡った。
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