過去ログ - オッレルス「…甘えた病?」フィアンマ「……困ったものだ」
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21: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/12/19(水) 00:06:25.64 ID:W5b8ddW10

オッレルスから離れ、部屋に引きこもって数時間。
"ストックが切れた"とでも表現すれば最適か。
不安に駆られ、それでも誰かに頼るまい、とフィアンマは我慢していた。
心臓が圧迫され、握られているかのように息が苦しい。
それに伴って吐き気が湧き起こり、ぐらぐらと頭の中が揺れる。
壁に手をついてうつむいて深呼吸を繰り返しても、効果は現れない。
不安と同時に苛立ちが沸き起こり、何の意味も無いと知っていながら、苦し紛れに胸を掻いた。
がりがりと爪で胸元を傷つけてしまったが、その痛みも感じない程に苦しい。

「かひゅ、…っぐ…けほ、……」

視界が絶えずブレている。
耐え切れず崩れ落ち、床をひっかくと、爪が痛んだ。
苦しさを誤魔化す為に床を引っ掻いていれば、爪が剥がれる。
薄れかけた理性でそう判断したフィアンマは、手を引いた。

不意に、ガチャリとドアが開く。
そういえば鍵をかけていなかった、と、彼はのろのろと顔を上げた。
手を差し伸べられるが、首を横に振る。
このまま死んでしまった方が、むしろ世界の為。
それでも尚伸ばされる手は、フィアンマの左二の腕を掴んだ。
思わず、身動いて腕を振り払う。
条件反射的に何度でも抵抗する度、苦しさは増していく。
胃液を吐き出しそうになり、とうとう力が抜け、フィアンマはその場へ完全に座り込む。
そんな彼の細い身体を、誰かが抱きしめた。
誰かといっても、この家に居るのは、フィアンマを含めてたった二人。

「…レルス、……オッレル、ス…」

震える指先を、白い手が包んだ。
体温が融け合い、フィアンマは呼吸ペースが徐々に落ち着いていくのを感じる。
温かい。安心する。

「…大丈夫だよ」

言い聞かせるように囁いて、オッレルスは幾度かフィアンマの髪を撫でる。
何度も頭を撫で、背中を摩り、慰めるように『大丈夫』と繰り返した。


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