過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：四巻目【都市伝説】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲安価】京太郎奇怪綺譚：四巻目【都市伝説】

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892:1[saga]
2013/01/04(金) 21:55:32.27 ID:T9AHeC6lo
「そういう須賀君はどうなんすか？」

「家近いから」

「俗っぽい！」

「あ、じゃあ初恋の人が在籍してるからって事にしよう。青春っぽい」

「じゃあってなんすか！？」

「この学校に通うって、この学校の校門前の『ドラゴン桜』に誓ったんだ」

「冬だからどれが桜なのか分かんないっすよ……」

一通り試験が終わったからか、二人の語調はかなり明るい。

この会話の軽口も、一種の開放感による物なのだろうか。

まあ合格発表の日までは油断せず勉強を続けなければならないのだが。
落ちた時は滑り止めに向かわなくてはならない、受験生の悲しい宿命である。

「まあ、本音を言うと憧れの人が通ってた高校なんだわ。ここ」

「『通ってた』、っすか？　もう卒業したとか？」

「うんにゃ、休学扱いらしい」

「同じ高校を選ぶのは、その人みたいになりたいとかっすか？」

「無理だろ。俺はあの人みたいに凄くないし。第一、俺は他人にはなれないよ」

今は居ない、彼の大切な人。
その人の背中を追うように、彼は今の在り方を決めた。

だけどそれは、宮永照（かのじょ）になりたいからではない。

「あの人はあの人だ。俺はあの人にはなれない。だけど」

「大切な事はあの人から学んだって、そう、誰にだって胸を張って誇りたい」

「その為に来たかったんだ。この学校に」

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