過去ログ - 堕女神「私を、『淫魔』にしてください」
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15: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2012/12/18(火) 02:43:19.85 ID:w6oP1aHdo
夕食の準備が整い、大食堂へと赴く。
どこか馴染みのある香りに包まれたその食卓には、鏡のように磨かれた銀食器が並んでいる。

メイドの一人が椅子を引き、勇者を座らせる。
艶やかなクロスが敷かれた、一人には持て余すほどの大きな食卓。
頭上に輝くのは、数十本の蝋燭の光を散らばせ、隅々までも明るく照らすシャンデリア。
そしてほのかに香る、漂ってくるだけでも強烈に口内を潤わせる暖かな芳香。

まるで―――何年ぶりかのように、感じた。

勇者「………」

メイド「お待たせいたしました、陛下。……前菜でございます」

勇者「堕女神は?」

メイド「はい、厨房におります。御呼びでしょうか?」

勇者「………いや、いい。ありがとう」

供された前菜を口に運び、噛み締める。
春の芽吹きのような、野菜をふんだんに用いた蒸し物は、口の中に甘やかな滋養をほどけさせるようだった。

それなのに、気付けば、勇者の首は傾いていた。


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