過去ログ - 女友「おんなー、何見てるの?」 女「んー? 別に」
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23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/16(土) 01:24:40.09 ID:AYbR9MWa0

男友「ナルコさん、いた?」

女「まだ、みたい」

男友「早いとこ終わらせようぜ。メシまだなんだわ」

女「そうなんだ」


ここで昼の校内放送が流れる。
放送委員の諸連絡の後、歌い出したのは宇多田ヒカルだった。

Stay Goldのピアノの旋律が、昼間に似つかない夜を想わせながら校内に響きわたる。


男友は宇多田ヒカルの1stアルバムしか聴けない。
2nd以降の世界へ入ると、自分が犠牲者のような気持ちになると気付く。

犠牲者を例えるならカマキリのオスであり、男は聴いていると自分が苛立つのが分かった。
イライラは、誰かへの犠牲愛の心理的通過儀礼が彼女からは色濃く感じられるため、その苦しみから逃れようとする拒否反応だった。


中学からの親友である男も、彼女のファンであり-コンビニで年齢を偽り、買ったトリスを瓶ごと2人で回し飲んで-その話をした。

男も理解していて
「今度は嫌なりに、聴いてみたら?」と男友に提案してみた。が、その気になれない。
「そりゃ酷すぎる。だいたい、あんなに好きだったのによ」と荒々しくボトルに口をやり、夜空を見る。


メスの用が済んだあと食べられてしまうカマキリのオスを想うと
男友はメスに激しい怒りを感じた。
理不尽だろ、そんなの。
なんでそうなんだ?
勘弁してくれ。
ありえないんだよ。
俺は嫌だ。

捨てるのは、俺からだ。


そんな風に繰り返し、繰り返し感じ「誰かの為に何ができるのか?」とは考えず、また怒りが恐怖や不安からきているものだと分からず、ただ嫌だという気持ちを貫き通したい自分自身に気付いたとき
あんなに好きだった歌姫だったのに
初めて女性に触れるなら彼女がいい、と唯一神に祈るほど好きだった宇多田ヒカルのCDを
男友は、あっという間に全て売り払う。
そして、その金でAVを買ってすぐに捨てたのだった。


その話を聞いたとき、男にとってそれは「もう関わらないで」と何かへ伝えたがっている行為にも見えた。


男友「…」

女「…どうかしたの?」

男友「いや、なんでもない」



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